VIVA LA ROCK 2018

5.5 SAT 13:35-14:15 STAR STAGE
BRAHMAN

身体と魂の全力をぶつけ合う
BRAHMANの苛烈な初登場、そして変化への意志

「VIVA LA ROCK、初登場。容赦なしに、BRAHMAN始めます」

TOSHI-LOWはこう告げた。ブルガリア民謡の響くオープニング映像に続き、 “GOIN’ DOWN”で一気に場の空気を塗り替えたBRAHMAN。ビバラには初登場。しかしオーディエンスは身体と魂の全力をぶつけ合うような彼らのライヴの流儀をちゃんと知っている。前方では早くもモッシュとダイヴの熱い空間が生まれ、続く“賽の河原”から息をつく暇もなく“SEE OFF”、“BEYOND THE MOUNTAIN”へ。KOHKI(Gt)、MAKOTO(B)、RONZI(Dr)が叩き出す塊のような音像に乗せ、TOSHI-LOWが歌う。4人の叫びの掛け合いがどんどん熱量を増し、エネルギーそのものを叩きつけるような楽曲が繰り広げられる。

今年2月にアルバム『梵唄 -bonbai-』をリリース、バンドの核心にある激情とエネルギーは変わらないまま、新境地の音楽性へのアプローチも見せた彼ら。この日に見せてくれたのは、その変化の意志でもあった。続く“怒涛の彼方”では東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦、GAMO、北原雅彦、NARGOというホーン隊の4人がゲストに登場。「俺たちの曲に新しい息吹を吹き込んでくれたんだ」とTOSHI-LOWは語り、続く”AFTER-SENSATION”はメロディアスな旋律をじっくりと歌い上げる。

フロアへ飛び込んだTOSHI-LOWがクラウドサーフで押し寄せるお客さんとぶつかりあいながら歌った“警醒”、原発事故に最前線で対峙した男達のドキュメントを切り取った写真をヴィジョンに映し出した“鼎の問”と続け、オーディエンスに馬乗りになったTOSHI-LOWは、「何度も何度もビバラから誘いを受けていた。だけどずっと断っていた」と話す。主催の鹿野淳との紆余曲折あった関係性、そして東日本大震災を経た互いの変化を語り、「なんだよ鹿野、いいフェスじゃねえか」と笑顔を見せる。

「変わることは逃げじゃねえ、変わることは挑戦だ。そんなことを俺に教えてくれた歌」と言い、続いて披露したのはソウル・フラワー・ユニオンの“満月の夕”。途中で演奏をとめ、TOSHI-LOWはマイクを使わず、広いアリーナに生の歌声を響かせる。さらにゆったりとしたテンポで日本語の情感に満ちた言葉を歌い上げる “今夜”では、盟友・細美武士がステージに登場。力強くも美しいハーモニーを響かせた。

BRAHMANは今、全身全霊のハードコアな歌を響かせることに挑戦し始めている。その苛烈な意志を感じるステージだった。ラストは“真善美”。「一度きりの意味を お前が問う番だ」。そんな歌詞の最後を叫び、暗転してライヴは終了。深い余韻が残る中、彼らはステージを降りた。

セットリスト

1. GOIN’ DOWN
2. 賽の河原
3. SEE OFF
4. BEYOND THE MOUNTAIN
5. 怒涛の彼方
6. AFTER-SENSATION
7. 警醒
8. 鼎の問
9. 満月の夕
10. 今夜
11. 真善美

撮影=古溪一道 テキスト=柴 那典