- 5.3 THU 10:30-11:05 VIVA! STAGE
- CHAI

CHAIなりのフェス映え、ここにあり!
四人が描き出したN.E.O.カワイイのその先
VIVA LA ROCK 2018、VIVA! STAGEの一番手を務めたのは今回が本フェス初登場となるCHAI。揃いのピンクの衣装に身を包み、<C・H・A・I>の出囃子と共に登場した四人は天真爛漫。リラックスした雰囲気に会場の空気も和む。2018年の目標は「CHAIなりのフェス映え」とラジオやインタビューで公言していた彼女たち。果たして、VIVA LA ROCKの舞台でどんなライヴをみせてくれるのか。期待は否応なく高まる。
ライヴ序盤は、音源配信サイト「OTOTOY」とのコラボレーション曲“Sound & Stomach”(音と胃)、名古屋出身のCHAIならではの溢れるヴィレッジ・ヴァンガード愛(ヴィレヴァンは名古屋が発祥の地)を歌った“ヴィレヴァンの”、そして1stアルバム『PINK』から“ボーイズ・セコ・メン”と、BPM120台のナンバーを立て続けに披露したCHAI。「フェス映え」という言葉には、四つ打ちで、やたら速くて、キャッチーで、というイメージがあるが、CHAIはあくまでも自分たちのグルーヴで「フェス映え」するライヴを立ち上げていく。
CHAIのライヴは多幸感という言葉一つでは表すことのできないほど、ユーモアとカタルシスに満ち溢れている。観ていると、自分という存在が全肯定されているような気分になってくる。まず、何よりも彼女たちがとにかく楽しそうなのだ。物販紹介すらも“自己紹介”というタイトルで曲にしてしまうCHAI。マナ(Vo&Key)とカナ(Vo&G)の双子ならではのユニゾン・ヴォーカルはキュートでありながら、どことなくサイケデリックな趣もある。昼下がりにNHKの子供番組を観ていると感じる、妙な空恐ろしさとでも言えばいいだろうか。
80〜90年代にかけて活躍したハードロックバンド・Mr.BIGの名曲“To Be With You”のメロディを借りて、アカペラで歌い上げたマナとカナ。海外でも広く活動するCHAIならではの……と、彼女たちが意識しているかは確かではないが英語と日本語をちゃんぽんにしたMCでウケを取りつつ、次にCHAIが披露したのはCHAIのテーゼを表す、2017年を代表するキラーチューン“N.E.O.”。目が小さくても、足が短くても、私たちはカワイイを超えて「N.E.O.カワイイ」んだという宣言はまさに、今という時代に鳴るべくして鳴った音という実感が一人のリスナーとしてある。
ここで、CHAIはサングラスを装着。スクリーンに大写しになったバッドアスなユナ(Dr/Cho)の姿に爆笑が会場から巻き起こる。“ぎゃらんぶー”では、ブーイングをオーディエンスに要求。「ちょっと、後ろの方も見えてるからちゃんとやって〜。こういう時に参加してないのは大体、関係者か、ヒゲとオシャレメガネなんだよ〜」とやたら対象を特定するユウキ(B&Cho)のしつこくも厳しいMCに応えて、一つになる会場。ブーイングで一体感の生まれるライヴって一体……(最高)。
この日のハイライトは5月9日にリリースを控えたEP『わがまマニア』に収録予定の新曲“フューチャー”だっただろう。広大な光景を想起させるかのようなCHAIなりの壮大なロック・アンセムは、ドリーミーでキュート。ありのままの自分を認めて、その先の未来へと力強く進んでいこうよ、と“N.E.O.”で描き出した今をドライヴさせ明るい未来に向かって突き進んでいく、強い意志とエールに満ち溢れたCHAIの新境地を感じさせる楽曲だ。
「今夜1時からNHK『シブヤノオト』に生放送で出演しま〜す! 観てねぇ〜!」と、最後にアピールしたCHAI。新世代のアイコンとして今まさに引っ張りだこの彼女たちが、ラストナンバーに選んだの“sayonara complex”。ユナとユウキの奏でるヘビーでタイトなサウンドに、カナのユーモア溢れるギターとマナのキッチュな歌声が絡み合うと、なんとも言えないCHAIのグルーヴが生まれる。ちょうどいい温度の温泉で半身浴しているかのような、静かな熱が体の奥底から湧いてくる。これは、もはやヒーリングだ。「Thank you ビバラ〜、今日一日楽しんでいってねぇ〜!」と、一礼してステージから去っていった4人。N.E.O.カワイイとカオスを行き来しながら、未来に向かって突き進んでいく、CHAIの「フェス映え」はかくも新しく、かくも心地よく、かくもN.E.O.カワイイものだった。
セットリスト
1. Sound & Stomach
2. ヴィレヴァンの
3. ボーイズ・セコ・メン
4. 自己紹介
5. N.E.O.
6. ぎゃらんぶー
7. フューチャー
8. sayonara complex
撮影=釘野孝宏 テキスト=小田部仁