- 5.5 SAT 18:00-19:40 GARDEN STAGE
- DJ ダイノジ
「100分間ただひたすらあなたを肯定しにきました！」
ロックフェス百戦錬磨のDJパフォーマンス
その核心を見た
3日間のVIVA LA ROCK、GARDEN STAGEの大トリを務めるのはDJダイノジ。開始直前の挨拶で大谷ノブ彦が、「自分達がロックフェスに一番呼ばれるDJなんだ」と伝え、早速お客さんから大量の「フゥ――!!」を集める。
大谷のDJと大地洋輔のエアギターによるコンビネーションが彼らの見どころだが、なんと大地が開始1時間後から参加ということがアナウンスされ、お客さんからは戸惑いの声……。しかし、「エアギターが来るまで、エア大地でお楽しみ下さい！」の一言で笑いを誘うと、大谷は己のDJの極意をふたつ述べた。ひとつは、自信を持ってその曲を世界一好きになること。もうひとつは、失敗すること、失敗を恐れないということ。「今日もきっと俺はDJ中のどこかで失敗するから！」と言ったが、果たして……。
“スーダラ節”をスピンし、スタート。もうのっけから、大谷本人も思わず「なんじゃこの景色は！」と驚くほど、一体感あるダンスパーティがGARDEN STAGE内に生まれる。“Crazy Crazy”→“ギャグ”の星野源メドレーから、「女の子にフラれてYeah Yeah Yeahなんて、ロック以外の何ものでもないよね」という一言でThe Beatlesの“She Loves You”へ。そりゃ叫ばずにはいられないとばかりの「Yeah Yeah Yeah」がガーデン一帯に鳴り響く。間もなく夜という18時半にかけられたフレンズ“夜にダンス”は、まさに空色とベストマッチな美しいグッドミュージックだった。
「ラップを取り入れたバンド曲、そしてヒップホップグループからメロコアへと繋ぐ」という説明でGARDEN STAGEから大きな歓声をゲットし、Suchmos“Alright”、クリープハイプ“社会の窓”、Creepy Nuts“合法的トビ方ノススメ”、Dragon Ash“fantasista”、Hi-STANDARD“Stay Gold”、ELLEGARDEN“Supernova”と、容赦なくガンガン繋いでいく大谷。すっかり熱々になったところでKEYTALK“MONSTER DANCE”、WANIMA“ともに”を投下し、大熱狂のクライマックス状態に到達———という開始68分経過時、遂に大地がGARDEN STAGEに降臨！ 割れんばかりの大歓声が起こり、ダイノジとお客さん一人ひとりが最高の“ともに”を作り上げた。
「紹介しよう、エアギター世界ナンバー1、大地洋輔！」の一言で大地がセンターに立つと、スピンされたのはUNISON SQUARE GARDEN“シュガーソングとビターステップ”。ダンサーと大地が肩を組みながらこれでもかと観客を煽り、巨大なサークルが出現して最高の大サビを迎える。
そろそろ終演時刻も近づいた頃、THE BLUE HEARTSの名曲“人にやさしく”が流れた。＜ガンバレ！＞の大歓声とともに人々が拳を上げる光景のなんと美しいことか。最後は会場全体の一本締めでGARDEN STAGEを締め括った――と思いきや、まさかの「え、あと10分やっていいの!?」（大谷）という終了時刻の勘違いが発生。それではということで尾崎豊の“15の夜”が響きわたり、大合唱が湧き起こった。
というわけで、ラストはMr.Children“シーソーゲーム”。フィールドは今日一番のハンドクラップに包まれるも、まさかの終了1分前に音が止まってしまうという「失敗ハプニング」が発生。冒頭で言った通りの展開に笑いが起きつつ、音なし状態で＜恋なんて～＞＜Yeah＞の大合唱が自然と巻き起こり、埼玉の夜空は一人ひとりの思いやりと優しさで埋め尽くされた。失敗も大成功の種に瞬時に変えてしまう、これぞ「あなたの好きを肯定」するDJダイノジのパフォーマンスの魅力なのだろう。まさにお客さんと一体になって生み出される、とても温かいGARDEN STAGE大団円であった。
撮影＝山川哲矢 テキスト＝信太卓実
