VIVA LA ROCK 2018

5.5 SAT 18:05-18:50 CAVE STAGE
ENTH

メロディック新時代の幕開けだ!
全てをかなぐり捨てる激演でENTHが頂点を奪取!

おお、ENTH、今年はCAVEの大トリか! 去年の初出演から大躍進。地道な活動をしっかり続けていればこうやって認めてもらえるんだ。多くのバンドマンにとって夢のある話じゃないか。

スタート前からCAVEは大入りで、入場規制目前といった様子。SEが鳴った時点であちこちで拳が上がり大歓迎ムードだ。そして、“Crime in my mind”の出だしから大シンガロング。続出するクラウドサーフを鉄壁の3ピースのサウンドが受け止めた。もう、最初の1分で分かる。状況は変わった。ENTHが変えた。ENTHも変わった。より強靭になったアンサンブル、自信に満ちたアティチュード、そしてそれを支えるたくさんのファンの姿。昨年と同じ曲をプレイしていても全く違うものに聞こえる。

「このフェスを信じている」という3人は、最初からのびのびとしたパフォーマンスを見せる。いや、「のびのびと」だなんて生ぬるい。ビバラにその身を預け、完全に精神を解き放ち、まるで手のつけられない猛獣のような獰猛さでENTH流のメロディックパンクをかき鳴らす。最初は大盛り上がりだった観客も、彼らの前のめりなビートと気合いについていくのがやっと。盛り上がってないわけじゃない。あんな熱に当てられたら誰でもぽかーんとしてしまう。心はこれ以上なく高揚しているのに、ステージの上はそれ以上のテンションで爆走しているのである。これはちょっとすごい状況。完全なるビバラマジックだ。

daiponは「みんな疲れちゃってますか? こっちは殺しに来てるんですけど!」と叫んでいたが、「ちげぇよ! みんなもうとっくに殺されてんだよ! 圧倒されちゃってるんだよ!」と言い返したい気分だった。だけど、このひと言でハッと我に返ったかのように再び暴れだす観客。「頼むで、ついて来てな」とdaipon。これはもう一体感のあるライブというよりも、ステージとフロアのガチンコ勝負と表現するほうが正しいかもしれない。そして、この試合はENTHが圧勝している。このパワーは本当にすごい。驚くべきことに、このとんでもない勢いのなかでも演奏は全く崩れないのである。

バカ笑いしながら坂道を転げ落ちるような勢いで突っ走ったライブの最後、daiponの謝辞は、自分でも何を言ってるのか分かってなさそうなぐらい高揚したものだった。だがここでワンクッション入れたことで、次の“TEARS”では全員がいくぶん冷静さを取り戻した。そして、ラストの“ムーンレイカー”でステージとフロアが遂に一体となったのだった。この日一番の大合唱、かき鳴らされるギター、怒涛のクラウドサーフ、重戦車のようなドラミング、突き上げられる拳、ストレートに胸を突く歌――全てがぐっちゃぐちゃに絡まり合い、ともに転げ落ち、最後の1音が鳴らされたとき、メロディックパンクの歴史に新たなる1ページが刻まれた。

セットリスト

1. Crime in my mind
2. GetStartedTogether
3. HANGOVER
4. Voo-Doo Shangrila
5. “TH”
6. Grimm
7. Gentleman Kill
8. Let it die(t) ~まこっつ走れ~
9. Bong! Café!_au lait! Acoustic guitar!
10. NO FATE
11. TEARS
12. ムーンレイカー

撮影=小見山 峻 テキスト=阿刀“DA”大志