VIVA LA ROCK 2018

5.5 SAT 10:30-11:05 CAVE STAGE
FINLANDS

特徴的なハイトーンだけではない
「バンド」として獲得した確かな説得力

VIVA LA ROCK3日目のCAVE STAGEでトップバッターを飾るのは、昨年11月に北浦和で行われた「KICK OFF VIVA!!!」にも参加していたFINLANDS。今年もVIVA LA ROCKには多くのガールズバンドが出演してきたが、チャットモンチーが7月で「完結」する2018年において、次の中軸を担うのはどのバンドなのか?その候補のひとつが、「2人組」を共通点とするFINLANDSであることは間違いないだろう。

サポートのギターとドラムと共に、お馴染みのコートを着込んだ2人が登場すると、一曲目に始まったのは“カルト”。躍動感溢れるバンドの演奏に支えられ、塩入冬湖が特徴的なハイトーンボイスを響かせると、やはり場内の空気が一瞬にして変わる。間奏ではコシミズカヨやサポートギターの澤井良太がステージ前方でオーディエンスを煽ったりと、かなりアグレッシブだ。続いて印象的なドラムパターンが繰り返され、赤い照明の中で轟音が響くシアトリカルなイントロダクションから“バラード”!演奏も歌声もさらに熱を帯び、フロアは北欧のフィンランドから一気に熱帯へ。

さらに4つ打ちのダンサブルな“クレーター”で駆け抜けると、「今日はVIVA LA ROCK最終日、お越しいただきありがとうございます。ご存知かと思いますけど、隣のステージでは四星球先輩がライブをしてて、私たちはいかに高い声を出すかでしか勝負できません」と塩入が笑って話す。さらには「ゴールデンウィークは久しぶりにいろんなライブを観に行って、まるで学生に戻ったような気分で、こんなに楽しいことなんだって思いました。みなさんも今日はワクワクしてきてると思います。みなさんが今日観たバンドの音源を聴きながら帰るときを想像すると、私たちもワクワクします。精一杯楽しみます。精一杯楽しんでください」と語りかけた。

塩入は冗談めかして「高い声で勝負するしかない」と話したが、ミドルテンポでしっかりと聴かせるタイプの“恋の前”を演奏する4人を観ながら思うのは、もはや塩入の声ばかりがフィーチャーされていた初期とは違い、サポートも含めたFINLANDSが、しっかりと楽曲を届けられる「バンド」になったということだ。その印象は疾走感とキメが気持ちいい“フライデー”でもそうだし、ラストに披露された代表曲“ウィークエンド”でより顕著なものに。確かな説得力のあるパンキッシュな演奏があるからこそ、塩入もさらに自由に声を泳がせることができる。ハウリングが響き渡る、まるでパンクバンドのようなラストシーンに、FINLANDSの現在地を見たように思う。

セットリスト

1. カルト
2. バラード
3. クレーター
4. 恋の前
5. フライデー
6. ウィークエンド

撮影=小見山 峻 テキスト=金子厚武