- 5.3 THU 11:05-11:45 STAR STAGE
- フレデリック
大海原へと漕ぎ出したフレデリック
ベストパフォーマンスでSTARを先導！
ライヴ中、「来年はもっと上のステージに立ちたい！」とアーティストが叫ぶ光景を様々なフェスで見かける。だが、簡単にその願いは叶わない。しかし、フレデリックは今年それを実現した。去年の宣言通り、初出場から4年目にして遂にビバラのメインステージへ到達したのだ。しかも、フェス運営側から大きな期待が込められている初日のオープニングである。
盛大な手拍子で迎えられてステージに姿を現した4人が1曲目に選んだのは“KITAKU BEATS”。最初の1音目から観客のジャンプでフロアが大きく揺れる。ビートが命のフレデリックサウンドは、今年からパワーアップしたSTAR STAGEの音響と照明によく映える。弦を弾く音まで聞こえてきそうな三原康司のベースと、低音が引き締まった高橋武のタイトなドラムが心地よい。
フレデリックというと、トリッキーで一筋縄ではいかないオルタナティブロックという印象が強いが、今日はどうも様子が違う。屈指の中毒チューン“リリリピート”も、あの特徴的なクセはそのままに、よりストレートなスタジアムロックとして脳と心を震わせる。この大舞台がそう感じさせるのだろうか。ひとつはっきりしているのはボーカルギター三原健司の存在感だろう。去年のビバラ以上に強烈な色気を感じるし、楽器よりもずっと前で声が鳴っているイメージだ。しかも、三原康司とのハーモニーが実に美しい。この1年で彼らのパフォーマンスにポジティブな変化が起こったのを感じる。MCで三原健司が言ってたが、こんなバンドが“オドループ”の一発屋で終わるわけがない。フレデリックは着実に進化している。
新曲“飄々とエモーション”はそんな進化の一端を感じさせる楽曲だ。反復する言葉やフレーズを駆使するのではなく、ストレートな歌モノで勝負。こんなふうに緩急をつけたあとに放り込まれる“オドループ”がどれだけ気持ちいいことか！
昨年のクイックレポでは彼らのライヴを「底なしのフレデリック沼」と表現したが、4人は既に沼を抜け出し、大海へと泳ぎだしていたのだった。40分間のステージが終わって周りを見渡すとSTAR STAGEは多くの観客で埋め尽くされていた。トップバッターの役割は十分果たしたと言っていい。フレデリックよ、もう結果は残した。来年は昼間ではなく、夜のダンスタイムにそのパフォーマンスを見たい。
セットリスト
1. KITAKU BEATS
2. リリリピート
3. ナイトステップ
4. 飄々とエモーション
5. TOGENKYO
6. オドループ
7. オンリーワンダー
撮影＝古渓一道 テキスト＝阿刀“DA”太志
