- 5.3 THU 16:55-17:40 GARDEN STAGE
- 金井政人(BIGMAMA)
この日のための新曲＆カヴァーありの名曲オンパレード！
愛に満ちた至福の歌がガーデンを優しく包み込む
リズムを同期で流しながら弾き語りで歌った“until the blouse is buttoned up”。それだけでGARDENの空気を自分色に染めていくのは十分だった。どこかアンニュイなのに、そっと心の中に染み渡っていくような熱を持つ金井政人の声が瞬く間にガーデンを浸食していき、ファンへの絆を大切に育んできた彼らしいサービス精神旺盛なライヴが展開されていく。
そんな珠玉の45分間の最初のハイライトは2曲目でいきなり訪れた。「今日のために曲を書き下ろしました。タイトルとかないんで適当に楽しんでください」という言葉は、この場に居合わせた全員にとっての極上のご褒美だろう。何よりそんな「プレゼントタイム」がこの1曲で終わらないのが金井政人の金井政人たる所以である。普段BIGMAMAでは聴けないエレクトロニカ的なサウンドの新曲を聴かせ、その後はなんとストレイテナーのカヴァー“シーグラス”へ。さらにUNISON SQUARE GARDENのカヴァー“ライドオンタイム”に繋げるなど、とびきりスペシャルなライヴで多くの観客を楽しませていく。
ここからはBIGMAMAのメンバー東出真緒（Violin）と、SPiCYSOLのPETE（Key＆Trumpet）を招き3人体制で“CPX”を披露。音の厚みが増したのはもちろんだが、気心の知れた仲間と奏でる演奏には温かさがあり、何より彼の声はヴァイオリンに乗った時に完成するのではないかと思えるほど濃密なグルーヴが生まれていく。“最後の一口”でのトランペットとヴァイオリンで生み出す流麗なハーモニーは何より美しく、この日最高の熱唱となった“秘密”からは名曲としての褪せることのない強度を感じずにはいられなかった。
それにしても、バンドセットよりも音数がグッと減ったことで際立つのは、やはり金井政人の持つ声のしなやかな美しさ、そしてその強さである。すべての人が抱える漠然とした孤独やその悲しみを背負ったような彼の声は壊れそうなほどに張りつめ、だからこそその歌には他にはない優しさが漲っていた。仲間の力を借りながらいくつもの名曲を自在に手繰る、彼のシンガーとしての力に惹き込まれる素晴らしいステージだった。
セットリスト
1. until the blouse is buttoned up
2. 新曲
3. シーグラス（ストレイテナー）
4. ライドオンタイム（UNISON SQUARE GARDEN）
5. CPX
6. 最後の一口
7. 秘密
8. CRYSTAL CLEAR
撮影＝山川哲矢 テキスト＝黒田隆太朗
