VIVA LA ROCK 2018

5.3 THU 14:45-15:20 GARDEN STAGE
MONO NO AWARE

キュートでキッチュでヘンテコなのに気持ちいい!
MONO NO AWAREという次代のポップ名作家に酔いしれた

『人生、山おり谷おり』で早耳のリスナーを虜にし、ポップ・ミュージックの次なるエースになり得る可能性を示したMONO NO AWARE。VIVA LA ROCK 2018の初日、GARDEN STAGEの2番手として初出場である。怪しく蠱惑的な“me to me”が生暖かい風と混じり合い独特の空気を作り出したかと思えば、何故そこで声がうわずるのかわからない「VIVA LA ROCK1日目、GARDEN STAGEよろしく!!」(玉置周啓/G&Vo)という挨拶で微笑をもたらし2曲目へ。曲のクオリティが半端なく高いにかかわらず、こうしたイマイチ「しまらない感」のある姿を見て逆に素敵なスタートダッシュを感じた者は少なくないだろう。ゴールを知らないまま世界への果てへと走り出すような疾走感を持った“井戸育ち”が力強く、<もういい!どうにでもなる気がする>という歌に病みつきになるオリエンタルな“マンマミーヤ!”に続けば、彼らの一癖も二癖もあるポップ・ミュージックの匂いに惹きつけられ、ぞろぞろと緑の芝生が人で埋め尽くされていく。

「風めっちゃ強いですね。成人式みたいに朝6時から美容院行って髪の毛セットしてもらったのに、僕の頭はこの有様ですよ」という玉置らしいMCから、後半戦は新曲の“東京”でスタート。往年の歌謡曲を思わせる歌唱が気持ちよく、Aメロ、Bメロ、サビと曲調を変えながら景色を転換し、いきなり民謡のようなブレイクが入る構成には彼らのセンスが凝縮されている。ループされるギターのリフと、もはや人を躍らせるための魔法の呪文なんじゃないかと思えてくる<イワンコッチャナイ>(“イワンコッチャナイ”)の連呼で揺らしながら、“駈け落ち”で終演するまでその音楽性はまさしく変幻自在。

「明るい気持ちで終わるともったいないので、暗い曲やります。せいぜい悲しい気持ちになって帰ってください」という天邪鬼で偽悪的なセリフと、その後の「………………………嘘です。この曲で悲しい気持ちになっても、この後いいバンドたくさん見て楽しくなって家に帰って、それで『人生悪くないな』と思ってください」というMCも含め、最後の最後まで彼ららしいスパイスに満ちたステージでライヴを貫徹。ポップなのにちょっと不思議、奇妙なのに楽しい、そんな一言では言い表せない彼らの音楽達には独特の眩しさがあった。次代のポップ作家たるMONO NO AWAREは、実に彼ららしいやり方で持ち味を発揮しながら、詰めかけたオーディエンスに微笑みと満足感をもらたし舞台をあとにしていった。

セットリスト

1. me to me
2. 井戸育ち
3. マンマミーヤ!
4. 東京
5. イワンコッチャナイ
6. 駈け落ち

撮影=山川哲矢 テキスト=黒田隆太朗