VIVA LA ROCK 2018

5.4 FRI 18:45-19:35 VIVA! STAGE
ORANGE RANGE

「伝説」と「革新」を体現してみせた
ORANGE RANGEの圧倒的ライヴ!

VIVA LA ROCK 2日目、VIVA! STAGEラストはORANGE RANGE。ライヴのオープニングを飾ったのは、2016年の15周年を超え、昨年11月にリリースした2年ぶりの新作『UNITY』収録の“チラチラリズム”だ。ラディカルなサウンド・プロダクションが光る名曲がVIVA! STAGEを熱くさせる。続く2曲目は彼らのディスコグラフィーの中でも屈指のヒットナンバー“上海ハニー”。「俺たちらしいライヴをやりたいね」と、オーディエンスに曲中でカチャーシーを踊らせ、沖縄の伝統民族舞踊・エイサーで唱えられる「いーやーさーさ」のコール&レスポンスを織り交ぜながら、どんどんお祭り気分が高まっていくVIVA! STAGE。YAMATO(Vo)の吹く指笛が、さらに南国気分を醸し出す。

「VIVA LA ROCK、初挑戦でございます。出たからには結果を残したいなと思ってるんですよ。今日、ここにいるみんなが一つになって楽しめますか? 練習してみましょう!」と、オーディエンスにレスポンスの練習を求めるHIROKI(Vo)。「盛り上がってるふりしてください〜」と、本当に激しく盛り上がっているにも関わらず、自虐的にいってのけるORANGE RANGEのユーモアセンスにほっこりとする。そんなMCに続いて披露されたのは、パンクとポップと沖縄民謡が同居しているORANGE RANNGEらしい楽曲“Special Summer Sale”だ。

4月11日に配信が開始された楽曲“Hopping”では、ORANGE RANGEのバンドとしての地力を見た。NAOTO(G)とYOH(B)、そしてサポートドラマーによって奏でられるファンキーかつソリッドなロック・サウンドの上で、YAMATO、HIROKI、RYO(Vo)のラップが文字通り飛び跳ねる。自らのルーツを踏まえながら、咀嚼した音楽的リファレンスを見せつけるORANGE RANGEのロックは、非常に音楽的であることに今更ながら気づく。15年以上の長きにわたり、彼らが活動を続けてこれたのは、このミュージシャンとしての地力があったからなのだろう。

〈寿司食べたい〉という歌詞を繰り返し続ける(しかし、サウンドは激烈にタイトでかっこいい)楽曲“SUSHI食べたい feat.ソイソース”を挟んで、こちらも2004年に日本中でORANGE RANGEブームを巻き起こした名バラード“花”をプレイ。当時は気づかなかったが、HIROKI、YAMATO、RYOのヴォーカルのパート分けは実に手が凝っている。三声でのハーモニー、そしてラップもそれぞれのキャラクターが出ている。やはり、非常に音楽的なのだ。

「ステージから、この光景を見ているとみなさんのエネルギーがあって、バンドという生き物があるんだなと改めて、そう思います。ラストまでぶっ続けでいくぞ、ついてこれるか?」と言い放ったRYO。YAMATOは熱くなった体を冷ますためか、水を頭からかぶっている。

ここからは、ORANGE RANGEの大ヒット曲がRYOの言葉通り続けて演奏された。まずは“以心電信”。シグネーチャーとも言える、ギターリフが鳴り響くと大きな歓声がフロアから巻き起こる。この日は15周年記念で発売されたコラボレーション・アルバム『縁盤』でMONGOL 800と共に演奏されヴァージョンに近いアレンジで演奏された。続くは、“イケナイ太陽”。楽曲の途中、なぜかYAMATOが自分のパートの時に座り込んで水を飲んでいる。「休むなや!」とHIROKIに怒られると、今度は激しく体をシェイクしながらパフォーマンス。とにかく自由なパフォーマンスを見せつける。

全員が後ろ向きになり、オーディエンスを焦らしに焦らして披露された本編最後の楽曲は“キリキリマイ”。ラウドなギターサウンドが、ロックフェスという空間にふさわしいギターサウンドによる混沌=カオスを生み出していく。バンドとして、2018年にぴったりのスタジアムスケールのロックンロールの鬼のようなグルーヴが、VIVA! STAGEのオーディエンスをこれでもかというぐらい躍らせる。瞬く照明の中で、メタルバンドのごとくメロイック・サインを掲げたメンバー。凄まじい轟音が鳴り響く中、ステージを去っていった。
 
程なくしてオーディエンスのアンコールに応え、再びステージに戻ってきたORANGE RANGE。「みんなが帰る前に、めちゃくちゃ早めに出てきました!」と最後までユーモアを忘れないHIROKI。記念すべきVIVA LA ROCK、ORANGE RANGEの初出場の締めくくったのは“お願い!セニョリータ”。アッパーで、ダンサブルで、トロピカルで……彼らの魅力が存分に詰まった楽曲に体を揺らすオーディエンスたち。その様子を嬉しそうに眺めるORANGE RANGEの笑顔が眩しかった。

筆者のようにリアルタイムで聴いていた人たちは、楽曲ごとに様々な思い出を呼び起こさせられ、かつニューモードのORANGE RANGEを体感することができた素晴らしい演奏だった。そして、新しくORANGE RANGEを知ったオーディエンスにとっては伝説を目撃することになったライヴだっただろう。15周年を経ても、色あせるどころか、新たな魅力を見せ続けるORANGE RANGE。また、VIVA LA ROCKのステージを盛り上げてくれることを期待して待ちたい。

セットリスト

1. チラチラリズム
2. 上海ハニー
3. Special Summer Sale
4. Hopping
5. SUSHI食べたい feat.ソイソース
6. 花
7. 以心電信(縁盤Ver)
8. イケナイ太陽
9. キリキリマイ
En. お願い!セニョリータ

撮影=釘野孝宏 テキスト=小田部仁