VIVA LA ROCK 2018

5.3 THU 16:20-17:10 STAR STAGE
レキシ

揺れる稲穂が祝福した
レキシ、壮観のスターダム

「すげーな、おい! こんなに人いるんだ!」

軍旗の飾られたステージに法螺貝の音に乗って登場したレキシの池田貴史は素直に驚いていた。なにせスタンディングエリアは後ろまでぎっしり、スタンド席もワッショイエリアもリラックスエリアも含めて上まで見渡すかぎりオーディエンスに埋め尽くされている。壮観の光景だ。

開演前から期待が渦巻いていただけあって、1曲目“KMTR645”からお客さんのテンションは最高潮。客席に投げ入れたイルカの風船が飛び交い、パンクな演奏とシャウトに湧く。さらには“KATOKU”から池田が十二単に着替えての“SHIKIBU”とキャッチーな曲を続け、会場が一つになる。

3年ぶりとなるVIVA LA ROCKの出演となるレキシ。「B’zでーす!」「田村正和でーす!」とニセの名乗りをやったり、MCも基本的には冗談ばかりだったり、曲の演奏中もスキあらば小ネタを挟んできたり、やっていることは基本的には変わってない。でも、その佇まいには不思議なほどのスター性がやどり始めている。やりたい放題の音楽の遊びが、沢山の笑顔になって広まっている。

そんなレキシの真骨頂は「あっという間に残すところ2曲になりました」とのMCから15分以上にわたって披露した “狩りから稲作へ”。フロアに沢山の稲穂が揺れるなか、曲はコールアンドレスポンスを経てどんどん脱線。この後に出演するスピッツ“涙がキラリ☆”を<同じ稲穂がずらり〜>と替え歌で歌ったり、やはりスピッツの“チェリー”、YUIの“CHE.R.RY”、Xの“紅”や“残酷な天使のテーゼ”を歌ったり、思いつきの悪ふざけを次々と盛り込んでいく。先の読めない池田の振る舞いに即応で応えるバンドメンバーのミュージシャンシップも脱帽だ。「楽しくてしょうがない!」と池田が叫ぶ。

ラストはミラーボールが光る中“きらきら武士”でオーディエンス全員を多幸感で包んでフィニッシュ。全ての演奏を終えてステージから去ろうとする池田に「活動10周年おめでとうございます!」とフェスオーガナイザーの鹿野淳からサプライズで特製の「稲穂ケーキ」が手渡されると「ウソでしょ? 慣れてないんだからこういうの」と素で戸惑いの表情を見せていた。

10年前にレキシの活動がスタートしたときには、本人も周囲もこんな光景はきっと予測していなかっただろう。「どうかしてんだから、ほんとは!」と池田は途中のMCでふと口にしていたが、本当に「どうかしてる」エンタテインメントの真髄を見せてくれた。

セットリスト

1. KMTR645
2. KATOKU
3. SHIKIBU
4. 狩りから稲作へ
5. きらきら武士

撮影=古溪一道 テキスト=柴 那典