VIVA LA ROCK 2018

5.5 SAT 13:45-14:20 CAVE STAGE
teto

バンド結成を決意したVIVA LA ROCKで
新たなカリスマ誕生の瞬間を目撃

新旧のパンク/ラウド系バンドが群雄割拠の呈をなすVIVA LA ROCK3日目、CAVE STAGEには新鋭tetoが初登場。Nirvanaの“Sliver”が流れる中、ステージに登場したメンバーに対するオーディエンスのリアクションはかなり熱狂的だ。

「みなさんようこそ。あなたへ」という手短かな挨拶から、“拝啓”でライブがスタート。清涼感のあるコーラスと疾走する2ビートに乗って、小池貞利は飛び跳ねながらギターをかき鳴らし、やけっぱちにシャウトしながら歌う。その勢いは、今にもフロアに突っ込みそうだ。しかし、メロディーの根底にはフォーク的な歌心が感じられて、非常にキャッチーでもある。フロア前方ではすでに大モッシュ。これは問答無用に良いなあ。

小池が早口で捲し立てる“Pain Pain Pain”、弾き語りから始まるとすぐに合唱が起こった“暖かい都会から”と進む中、ギターの山崎陸も長髪をかき乱してプレイし、ベースの佐藤健一郎は的確なコーラスを挟みつつ、やはり執拗にアグレッシブ。決して演奏の上手いバンドではないが、福田裕介の手数の多いドラムには推進力があるし、4人の立ち姿は実に様になっている。

“36.4”を終えると、「早くから来てくれてありがとう。僕らも早めに起きてるんで、苦労を分かち合おう」と笑い、「5月なのにこんなに暑いとは。こんなに暑いと、夏のことを考えてしまいます。5月でこれで7月とか8月はどうなっちゃうんだ」と話して、“9月になること”。リバーブがかったギターが鳴らされ少しだけクールダウンするも、サビでは再び熱狂に包まれる。

ここで口調がシリアスなトーンになり、「高校卒業して、バンドやめて、群馬から上京して、初めて来たフェスがVIVA LA ROCKでした。3年前にはTSUBASA STAGEっていうのがあって、そこでライブを観てからまたバンドやりたいと思って、それで組んだのがtetoです。夕方で、風が吹いて、夕焼けが綺麗で、そのときの景色と風は忘れたくないなと思いました」と、バンドの結成秘話を披露。歌詞を〈3年前のVIVA LA ROCKの夕方の風を忘れたくないと思って生きていたいんだ〉と変えて、名曲“忘れた”を歌い上げた。

ラストは“高層ビルと人工衛星”を絞り出すように歌い、フロアにダイブをすると、メンバー全員がぐちゃぐちゃになって終了。小池貞利という凶暴なまでにピュアな、新たなカリスマの誕生を確かに感じさせる35分だった。Nirvanaのカート・コバーンのような。3年前のTSUBASA STAGEに出演して、今日VIVA! STAGEを締め括るあの人のような。

セットリスト

1. 拝啓
2. Pain Pain Pain
3. 暖かい都会から
4. 36.4
5. 9月になること
6. 忘れた
7. 高層ビルと人工衛星

撮影=小見山 峻 テキスト=金子厚武