VIVA LA ROCK 2018

5.5 SAT 13:00-13:35 VIVA! STAGE
打首獄門同好会

腹の底から歌って、笑って、叫べ
打首獄門同好会のVIVA! STAGE

昨年のCAVE STAGEでもその異質な存在感をVIVA LA ROCKに刻みつけた打首獄門同好会だが、今年もやっぱりヤってくれた。ライヴ冒頭から“デリシャスティック”、“島国DNA”、“ニクタベイコウ”と続けて、速くて、ラウドで、アガリまくるロックンロールをVIVA! STAGEに叩き込んでいく打首獄門同好会。うまい棒が飛び交い、本マグロのバルーンが空を飛ぶ……珍妙な光景が次々と展開されるものの、妙に説得力があるのは大澤敦史(G&Vo)、河本あす香(Dr&Vo)、junko(B&Vo)の鉄壁のバンド・アンサンブルが奏でるぶっといグルーヴがあるからだろう。

「VIVA LA ROCK、最終日楽しんでますか? 今日は、こどもの日です! 俺たち、子どもの心は忘れちゃいない、そうだろう? 寝たいだけ寝て、親に起こされて、朝また遊びに出かけて、夜更かししてまた起きられない。イマジン・オール・ザ・ピーポー! 次の曲は冬の曲になります。ついてきてくれるか、VIVA LA ROCK!」

という大澤のMCに続いて披露されたのは“布団の中から出たくない”。打首獄門同好会にとっては、バラードというような位置付けなのだろうか。やたら壮大な音像とオーディエンスを巻き込んだ大合唱が謎の感動を呼ぶ。フロア後方で嬉しそうにピョンピョン飛び跳ねながら、嬉しそうに<布団の中から出たくない>と、歌う子どもを見つめる、お父さん・お母さんの複雑な表情が印象的だった(お休み中、お疲れ様です……)。

しっとりした空気(?)を打ち破り、お爺ちゃん・お婆ちゃんの孫に対する強大なエネルギーを歌った“まごパワー”を経て、“きのこたけのこ戦争”を披露した彼ら。オーディエンスをきのこ軍とたけのこ軍に分けて、フロアで争わせるも、決着はつかず。この二つの日本を代表するお菓子がこの世に誕生してから果てしなく続いている、この無慈悲な戦争は今日も終わることはなかった。

「2018年、今年も日本は田植えのシーズンを迎えました。最後の曲では、日本を代表する主食である米の大豊作を祈らせてもらっても、よろしいでしょうか? それではご唱和ください、日本の米は世界一!」

ロックフェスでなかなか聞くことのないフレーズのコール&レスポンスをVIVA! STAGEが震えるほどの一体感できめ、最後に打首獄門同好会がプレイしたのは“日本の米は世界一”。3月には武道館公演を果たし、晴れて武道館アーティストとなった彼らだが、その軸足はぶれることはない。あくまで彼らは「生活密着型ラウドロックバンド」。生活の中に潜むロックンロールに目を向け、歌にすること、それって実は最高にラディカルなことなんじゃないか。腹の底から笑って、騒いで、歌って、ライヴが終わった後には心が軽くなっている。打首獄門同好会のライヴは、ロックの砂場で体感するロックンロール・デトックスだ!

セットリスト

1. デリシャスティック
2. 島国DNA
3. ニクタベイコウ!
4. 布団の中から出たくない
5. まごパワー
6. きのこたけのこ戦争
7. 日本の米は世界一

撮影=釘野孝宏 テキスト=小田部仁