VIVA LA ROCK 2018

5.4 FRI 18:45-19:30 CAVE STAGE
ビッケブランカ

メロディよし、気配りよしの新世代パーティリーダー
ビッケブランカのポップエンターテイナーぶりに驚愕

新世代ポップマエストロがビバラにやってきた! 初出演でCAVEのトリだなんて、どう考えてもファンな光景しか浮かばない。ビバラ2日目の最後を洞穴パーティで締めるというのも悪くない選択だ。

ライオンキングの壮大な音楽をバックにバンドメンバーが現れ、最後にビッケブランカが登場。「HO! HO! HO!」と雄叫びを上げ、1曲目“Moon Ride”へ。跳ねるような鍵盤が牽引するポップチューンだ。ビッケブランカはフロアの様子を確かめつつ、ハンドマイクで軽快に歌い上げる。

続く“アシカダンス”では鍵盤の前に座り、引き続き底抜けに明るいダンスタイムを継続。彼のようなピアノ・ポップ/ロックはライブだとさらに映える。筆者の右手にビールがないことを恨みつつ、「アン・ドゥ・トロワ!」の合図で飛び跳ねるフロアを眺めながら、彼の音楽に酔いしれる。下積みが長かったという彼は、それまで一体どこに潜んでいたんだろうか。こんなにも楽しい音楽が長い間誰にも見つからなかったことが不思議でならない。

縦ノリのポップチューンを堪能したあとは、MCを挟んで横ノリのグルーヴチューンへ。EMINEM meets MAROON 5的なフロウとサウンドが楽しい“Broken”である。オールドポップスへのリスペクトが感じられる音楽性を持ち味としながらも、今様のサウンドをマニアックになりすぎない程度に消化しているところも彼が支持を得ている要因のひとつだろう。さらに、観客とのコミュニケーションも積極的に図り、随所にコールアンドレスポンスを挟む。“Want You Back”では満足するまで同じコールアンドレスポンスを繰り返し、ラスサビへと入っていく。うーん、嫌味がないし、自然で巧い進行だ。

現時点でビッケブランカ一番の有名曲“Slave of Love”はやはり破壊力抜群。Queenのようなファルセットを駆使したメロディががぜん高揚感を高める。しかも原曲通りではなく、美味しいパートはより美味しく、盛り上がるポイントはより盛り上がるようにアレンジに工夫を加え、楽曲の魅力を数倍にも高める。この辺りのアイデアはこれまで積み重ねてきたライヴの賜物だろう。ああ、ビッケブランカはただのポップマエストロではなく、ポップエンターテイナーなんだ。

と思ったのもつかの間、“ファビュラス”で大盛り上がりして、口笛を吹きながらラストの“ウララ”に入りたかったのに、唇が乾いているのかカスカスでいい音が鳴らない。だが、ここでへこたれないのがビッケブランカ。“ファビュラス”のアウトロから何度も曲を繰り返し、上手く鳴ったところでようやく曲へ。こんなズッコケなところも笑って愛せてしまうんだからズルい男だ。

最後はアンコールを求める盛大な拍手が贈られたが、タイムリミットでそのまま終了。でも、しっかりステージに現れて感謝の言葉を伝えるんだから抜かりない。今すぐというわけにはいかないだろうが、今日のステージを通じて、彼がポップスターへの階段を登っていく道筋が見えたような気がする。今後の活躍に注目したい。

セットリスト

1. Moon Ride
2. アシカダンス
3. Broken
4. Want You Back
5. Slave of Love
6. ファビュラス
7. ウララ

撮影=小見山 峻 テキスト=阿刀“DA”大志