VIVA LA ROCK 2018

5.5 SAT 11:35-12:10 CAVE STAGE
Yap!!!

「the telephonesはライバルだと思ってます」
全ステージ制覇のMr.ビバラが刻んだ新たな一歩

VIVA LA ROCKに昨年始動した石毛輝のニュープロジェクト、Yap!!!が初登場。前日に行われたthe telephones、2年半ぶりのパーティーの余韻がまだはっきりと残る中、半日後に行われるまったく異なる編成、異なるステージでのライブは果たしてどんなものになるのだろうか?

New Orderの“The Perfect Kiss”をSEに、ベースの汐碇真也とドラムの柿内宏介とともに登場した石毛は早速「VIVA LA ROCK!」と目覚ましのようにシャウトして、「VIVA LA ROCK初出演、Yap!!!です。音楽を純粋に楽しみましょう」と語り、ポストパンクな“Too Young for Love”からスタート。the telephonesとYap!!!の一番の違いは同期の有無であり、カラフルなサウンドやビートが彩りつつも、その楽曲を生演奏することによって、強烈なダイナミズムが生まれる。「朝一から飛び跳ねろ!」という煽りに対する、フロアのリアクションも上々だ。

より衝動的な“Ahhh!!!”ではシンセとオートチューンを用いた印象的なロングブレイクから爆発を生む展開がまさにダンスミュージック的で、これはやはり「ダンスロック」(この言葉の善し悪しは一旦置いておいて)というよりも、「生演奏のダンスミュージック」。世界的なトレンドでもあると同時に、今年のVIVA LA ROCKで言えば、一日目に出演した若手バンドともシンクロする音楽性であり、石毛のアンテナが決してエッジを失っていないことを伝えている。

ドリーミーなシーケンスにロマンチスト気質が表れた“Kick the Door”に続き、汐碇がシンセベースを弾き、石毛がオートチューンで歌う“Queen of the night”はより80年代感が強く、柿内のドラムソロを挟んで、後半からエレキベースに変わってよりフィジカルになる展開も効果的。エレクトロニカ的な電子音と生ピアノの組み合わせがソロからの連続性を感じさせる“If I’m a Hero”は、よりムーディーに進行しつつ、やはり後半でバンド感を爆発させるのが現在のYap!!!らしさか。

「私事ではありますが、今日でVIVA LA ROCKの全ステージを制覇しました! 2人目です! 一人目は長島涼平というよく知ってる人でした」と笑うと、「組み立ての新人バンドですが、がっつりやっていきます。the telephonesはライバルだと思ってます。いつのまにかYap!!!がビバラの顔になってるかも!」と、改めてこのプロジェクトに対する本気度を伝える。

アシッドなテイストとスケールの大きなブレイクが特徴の“Story of boring man”でもう一度フロアに火をつけると、ラストは“Dancing in Midnight”。the telephonesとYap!!!を繋げる架け橋のような曲であり、Yap!!!の3人としてのグルーヴを示す始まりの曲でもあるダンスナンバーを叩き付け、フロアでは猿のように踊る人たちも。友人同士で作られたユニティーを抜け出して、新たな挑戦に挑む真摯な音楽家の確かな一歩をここに刻んだ。

セットリスト

1. Too Young for Love
2. Ahhh!!!
3. Kick the Door
4. Queen of the night
5. If I’m a Hero
6. Story Of boring man
7. Dancing in Midnight

撮影=小見山 峻 テキスト=金子厚武