VIVA LA ROCK 2018

5.4 FRI 13:00-13:35 VIVA! STAGE
yonige

変わらぬスタイル、変わらぬ歌心。
等身大のロックはオーディエンスの隣で鳴っていた。

yonigeがVIVA! STAGEに昇格? 当然だ。今でも記憶に残っている去年のCAVEでの入場規制パフォーマンス、その後の躍進、ステップアップしないほうがおかしい。去年から数倍にも広がったフロアにはどやどやと観客がやってくる。嬉しい光景だ。

「yonigeです、よろしく」という牛丸ありさのサバサバした短い挨拶とともにバンドイン。曲は“さよならプリズナー”。ハスキーで特徴のある声がVIVA!に鳴り響く。CAVEで聴くのもよかったが、天井の高い空間にふんわりと声が広がるのもいい。つまり、どこで聴いても牛丸の声はいいのだ。

彼女は天性のボーカリストである。まず、声そのものが素晴らしい。卓越したスキルで圧倒するのではなく、日常のテンションで語りかけてくるような、温かさと冷たさが同居した人間味溢れる声に心がふっと軽くなる。

MCでは、昨年のビバラのケータリングエリアで牛丸が酔いつぶれたというエピソードを披露。友だちのバンドマンに両脇を抱えられて、ごっきん(B)が待つ帰りの車に現れたという。彼女のパーソナルを知っているわけではないが、この豪胆さが実に「らしい」。楽曲から受けるイメージとなんだか近い。

昨年と同様にステージは淡々と進んでいくが、今年はサポートドラマーが変わっている。彼のプレイが実にタイトで、ごっきんのベースとの絡みもいい。正式メンバーとして迎え入れてほしいぐらいしっくりくる演奏だ。

もしかすると、yonigeはレポートを書くには少々ハードルが高いバンドなのかもしれない。3ピースという少人数で、奇をてらわず、何も飾らず、ちょっと斜に構えていて、演奏以外で観客が盛り上がるような演出をすることもないし、ハプニング性も高くはない。観客も、歌と、歌の良さを最大限に引き出す演奏に身を委ねるだけ。だけど、それでいい。そんなyonigeを見ていたい。そして、このままのスタイルで、自分たちのペースで、よき未来へと向かってほしい。

道行く人の足をどうにか止めてやろうと演者側があらゆる手を尽くすフェス全盛時代に生まれたyonige。彼女たちが選んだのは、ただいい歌を届けること。そして、それは間違いではなかった。最後の“さよならアイデンティティー”の演奏後にステージへ贈られた温かい拍手がそれを証明していた。

セットリスト

1. さよならプリズナー
2. our time city
3. あのこのゆくえ
4. センチメンタルシスター
5. ワンルーム
6. アボカド
7. さよならアイデンティティー

撮影=釘野孝宏 テキスト=阿刀“DA”大志