VIVA LA ROCK 2018

5.4 FRI 14:20-15:00 VIVA! STAGE
夜の本気ダンス

10年目の本気ダンス!
狂気とクールの狭間でVIVA!が揺れた

1組前のyonige牛丸ありさが、VIVA! STAGEの上を指して「これ、気持ち悪いよね」と言って笑いを誘っていたが、今やビバラ裏名物と言ってもいい存在感を放つ、この奇妙なオブジェが一番似合うバンドは夜の本気ダンスだと思う。彼らのブチ切れたテンション、そこはかとなく漂う狂気、暴力的なグルーヴ、奇妙なMCとなんだかマッチしている。

ステージに登場するなり鈴鹿秋斗(Dr)がすごい形相で何かを叫んだが、もうさっそく何を言ってるのかよく分からない。だけど、そのテンションだけで拳を挙げたくなる熱さがあるし、なんだか気合いが入ってることはよく伝わってくる。

彼らが生み出すグルーヴはすごい。躍動感のあるドラムとキレのあるベース、ギャンギャンに鳴り響くリードギター、それを支えるリズムギターがぎっちぎちにひとつの塊となって襲いかかる。暴走しているようで、土台はブレない。このギリギリの感じにしびれる。肉は腐りかけが美味いというのと同じ理論だ。

しかし、メンバーが意図しないところでMCが腐ってしまった。かなりテンパっていたのか、鈴鹿、「『ねごと』の後に夜の本気ダンスということで……」と対バン相手の名前を間違えるというドジを踏む。さらに「寝屋川出身のyonigeのあとにね、京都の上品なバンドということでね」と続け、もはやテンションが空回りただただ言葉が滑っていく鈴鹿にフロアから笑いが漏れる。5周年を迎えたビバラに対しても「奇数で周年を祝うのは好きじゃないんですけど、どーんと祝ってください!」と、イジりたいのか祝いたいのか訳がわかんない状態に。昼夜逆転したようなイカれたMCをひとしきり展開させた。

ここでバランスを取るのが米田貴紀(V&G)。縦縞のシャツに黒のネクタイを締め、狂気をはらんだクールなヴォーカルを聞かせる。“Japanese Style”ではギターを置いて自らステップを踏み、観客にダンスの指導。そして、“fuckin’ so tired”の冒頭では、<fuckin’/fuckin’/fuckin’ so tired>というタイトルコールに合わせてネクタイを外すという、男も濡らす色気たっぷりのパフォーマンスを見せた。ちょっとした所作からもフロントマンとしての成長を感じる。その“fuckin’ so tired”から“B!tch”へのつなぎは今日のベストモーメント。名うてのDJのような呼吸で場の盛り上がりを高めていく。

その一方で、鈴鹿の暴走は止まらない。マイケル(B)が始めたMCを勝手に引き取り、活字では上手く伝えきれない絶妙な語り口でthe telephonesの復活を祝い(そして、笑いを取り)、観客に手を挙げさせ、「今挙げた手ぐらいの高さまで跳んでください!」と“By My Side”へと突入。

最後は“TAKE MY HAND”でピークタイムを迎えた。リズムチェンジを挟みながら疾走するビート、意識がぶっ飛んだようなド派手なギターソロ、フロアのあちこちから挙がる拳――このバンドのいいところをギュッと詰め込んだパフォーマンスでフィニッシュを迎えた……はずだったのだが、ここでビバラ運営からのサプライズ。夜の本気ダンス結成10周年を記念したケーキがステージに運び込まれたのである。突然の出来事のせいか、さきほどのビバラへのイジりのせいか、戸惑いの表情を浮かべているメンバーがなんだか可笑しかった。

セットリスト

1. Call out
2. WHERE?
3. Japanese Style
4. fuckin’ so tired
5. B!tch
6. By My Side
7. BIAS
8. TAKE MY HAND

撮影=釘野孝宏 テキスト=阿刀“DA”大志