VIVA LA ROCK 2019

5.6 MON 10:15-10:55 STAR STAGE
10-FEET

最高の1日の号砲となった
10-FEETの本気

ビバラ最終日、STAR STAGEのトップバッターをつとめたのは10-FEETだ。

彼らがどんなバンドか、改めて説明する必要なんてないだろう。ビバラには6年連続の出演。昨年には3日間の大トリもつとめた。それだけじゃなく、各地のフェスでヘッドライナーをつとめ、主宰する京都大作戦は後輩のバンドたちにとっての憧れの場所になり、大袈裟な言い方じゃなく「2010年代の日本のロックフェス文化」を作ってきた。ライヴハウスと地続きの、数万人が身体と思いをぶつけ合う「遊び場」としてのカルチャーを作ってきた。

この日の彼らが見せてくれたのは、そんなバンドならではのトップバッターとしてのステージだった。

お馴染みの『ドラクエ』のエンディングテーマをSEに、TAKUMA(Vo&G)、NAOKI(B&Vo)、KOUICHI(Dr&Cho)がステージに登場し、円陣を組むように目を合わせる。

直前のVIVA! STAGEトップバッターをつとめた四星球が最後に繰り広げた「10-FEETが始まるよ!」というコールのバトンを受け取り、まずは四星球によるわずか2小節の“時間がないときのRIVER”の「逆カバー」を披露し「アンコール始めます!」とニヤリとさせて、ライヴはスタート。

そこから“1 size FITS ALL”、フロア前方がモッシュでもみくちゃになった“VIBES BY VIBES”、クラウドサーフが巻き起こった“SHOES”、「お前ら、気合入ってんのかい!」というコール・アンド・レスポンスからの“goes on”、「そんなんじゃ全然足りへん!」と声をあげさせてからの“1sec.”と、続けざまに披露していく。オーディエンスの熱気は当然のように最高潮。NAOKIはベースを高々と掲げ、「助け合ってるの、めっちゃカッコいいぞ」とTAKUMAはフロアを見回して汗だくの笑顔を見せる。

そして、この日の彼らのライヴの大きなポイントは、ただ単にオーディエンスを煽って熱狂をもたらすだけじゃなく、その一方で、歳を重ね日常を過ごすなかで胸に去来する「乾き」のような冷めた感情も、率直に、正直にMCで吐露していたところだろう。

TAKUMAは「ライヴを観れば観るほどなかなか感動せんようになってるのは、お前の感性がボケていってるんじゃなくて、お前がホンマに最高のライヴを観たことがあるからや」と、<心が冷めてる人は本当の感動を知っています>という歌詞を綴った“太陽4号”を歌う。「取り乱すことが減りました、驚くことが減りました」と語り、「今日はお前とムキになりたい、取り乱したい、一杯ビックリしたい!」と叫んで“RIVER”へ。そして「誰かが取り乱さないと引火せえへんと思うから」とオーディエンスを煽り、“ヒトリセカイ”を続ける。そして最後には、「音楽はイヤなことを忘れさせてくれるっていうけれど、イヤなこと、忘れたいことと向き合ってみようと思える気にもなれます。音楽の力で、忘れたいことと向き合えるようになりますように」と“その向こうへ”を歌い、<描き続けて擦り切れた願いは どこかに消えたけどさいたまにいた>と締めくくって、ステージを降りた。

TAKUMAはMCで、「人が本気で怒ったり、喜んだり、泣いたり、びっくりしたり、取り乱したり、うろたえたりって、なかなかないと思うんです。でもライヴはそれができる可能性があると思うから」と語った。

ラウドロックのシーンを支えるバンドたち、彼らにとって「仲間」と言えるバンドたちが多く登場するこの日のビバラのラインナップ。きっと、オーディエンスは1日のライヴを全力で楽しみ尽くすつもりで集った人がほとんどだろう。そのことの持つ「意味」自体をまるごと肯定するような大きさも感じるステージだった。

テキスト=柴 那典

セットリスト

1. 1 size FITS ALL
2. VIBES BY VIBES
3. SHOES
4. goes on
5. 1sec.
6. 太陽4号
7. RIVER
8. ヒトリセカイ
9. その向こうへ

撮影=釘野孝宏

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