VIVA LA ROCK 2019

5.3 FRI 14:45-15:25 VIVA! STAGE
ACIDMAN

炸裂する宇宙愛が
ビバラに星空をもたらした

無人のステージがブルーの光に照らされ、静寂から徐々に高揚していくアルバム『ALMA』収録の“最後の国(Introduction)”がSE代わりに鳴らされる。そして、まばゆい光を背景に、大木伸夫(Vo&G)、佐藤雅俊(B)、浦山一悟(Dr)の3人が登場し、大きな手拍子がそれを迎え入れる。

そのオープニングの数分間だけで、ACIDMANの鳴らす音楽のダイナミズムと神秘性がビバラのオーディエンスに響き、伝わっていくのを感じとれた。埼玉県出身のACIDMANにとって、このフェスは 「ホーム」の場所。これまでもたびたび出演し、2017年には結成20周年イヤーの集大成として自らが主宰する「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI”」をさいたまスーパーアリーナで開催もしている。2年ぶりのビバラ出演は、いわば帰還と言っていいだろう。

1曲目の“新世界”から、浦山がアグレッシヴなビートを畳み掛ける“ストロマトライト”、佐藤のベースラインが映える彼ら屈指のダンスナンバー“FREE STAR”と、序盤はキャッチーな楽曲を並べるセット。ただ、この日のハイライトはなんと言っても中盤に披露された“ALMA”だった。

「世紀の発見があったんですよ。ブラックホールが観測されたんです」と、MCで大木は興奮しながらブラックホールが史上初めて観測されたというニュースについて、そしてこれまでずっと彼を突き動かしてきた宇宙への思いについて語る。“ALMA”は、そのブラックホールの初観測に貢献した南米・チリの巨大望遠鏡をモチーフに書かれた曲。大木は「このビバラのステージを星空みたいにできたら」とオーディエンスにスマホのライトを灯すように呼びかけ、揺れる光に包まれる中、万感の思いを込めて情感あふれるメロディを歌い上げた。

ひとつのピークに達した後は“MEMORIES”、“ある証明”と激しいナンバーを続け、ラストは彼らの楽曲の中でも最もストレートにパンキッシュな曲のひとつである初期の代表曲“Your Song”をプレイ。エネルギーを出し尽くして3人はステージを降りた。

とてもロマンティックなライヴだった。

テキスト=柴 那典

セットリスト

1. 新世界
2. ストロマトライト
3. FREE STAR
4. ALMA
5. MEMORIES
6. ある証明
7. Your Song

撮影=古溪一道

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