VIVA LA ROCK 2019

5.4 SAT 11:10-11:45 CAVE STAGE
赤い公園

一年ぶりのVIVA LA ROCKで
新たな約束を交わした赤い公園

石野理子(Vo)が赤い公園の新しいヴォーカリストとして、ここVIVA LA ROCKの舞台でお披露目されてからちょうど1年。彼女たち歩んできた、この1年の道のりを今再び確かめるかのように、CAVE STAGEへと戻ってきた。

昨年のライヴは今思えば、極度の緊張感と興奮に包まれたものだった。赤い公園という稀代のロック・バンドの次なる一歩に対する期待、そして、石野が実際にステージで歌い出した時の「完璧じゃん!」という喜び。そういうものがないまぜになったちょっと異常なぐらいのテンション感だったように思う。

では、今年はどうだったのかというと……そりゃ、もちろん超えてくるに決まっていますよね。入場規制がかかるほどパンパンに詰まったオーディエンス。彼女たちが1年という時間をかけて、着実に活動してきたことをうかがわせる。熱がとにかくすごい。

ステージに登場した4人は観客の声援に応えつつ、去年のピリピリとした緊張感は何処へやら、どこか余裕の表情で“Highway Cabriolet”からライヴをスタートさせた。たった1年、されど1年、ここまで変わるものかとバンドの地を揺るがし、疾風を呼ぶようなグルーヴの変貌ぶりに驚かされる。2曲目はアルバム『純情ランドセル』(2016)収録の“ボール”をよりラフでフリーキーなアレンジで演奏し、間髪入れずに今度は新曲をドロップ。津野米咲(G&Cho)が繰り出すファズかディストーションか……激しく歪んだギターの音色が印象的なオーディエンスを激しく踊らせる楽曲だ。次にプレイされたのも、これまた新曲である。藤本ひかり(B)と歌川菜穂(Dr&Cho)のダンサブルなビートが体のコアを探るように揺らしていく。

「去年、初めてこの4人で赤い公園としてステージに立ちました。ちょうど1年が経って、今日は1周年記念ですね」と、感慨深げな様子の石野。「去年とは全然違うよね」と藤本がツッコむ。去年のライヴではどこか3人が石野を優しく見守るような構図があったが、今はもう完全に対等というような印象を受ける。

「エピックレコードジャパンに移籍が決まりまして、再びメジャーシーンに舞い戻ることが決まりました。一緒に手伝ってくれる人が増えて。色々ありましたが、みんなの信頼をいただけるようにカッコいいバンドになりたいです。ここからSTAR STAGEまでなる早で行きたいけれど、それにはみなさんの協力が必要です。私たちのことを信頼してついてきてください。そして応援よろしくお願い致します」

バンドを代表してリーダーの津野が、赤い公園にとっても特別な場所であるであろうVIVA LA ROCKの舞台で満杯のオーディエンスを前に新たな約束を誓い、移籍を発表。そして、赤い公園の新体制を代表する1曲となった“消えない”を演奏。「みなさん、盛り上がっていけますか?!」と、石野がフロアを煽る。津野もギターソロをキメる。

昨年のライヴでは石野が過去の赤い公園のディスコグラフィを歌うと、馴染んでいながらもどこかやはり以前の彼女たちを思い起こさせざるを得なかった、しかし、この日のライヴでは完全にそれは払拭され『純情ランドセル』収録の“KOIKI”も完全に今の4人の楽曲として鳴っていた。

最後に演奏されたのは新曲。夏にふさわしい直球な疾風のようなビートに拳を突き上げざるを得ない、ど直球のロックンロールナンバーだ。藤本とお立ち台に乗って、向かい合いながら楽しそうに歌う石野。台から降りようとすると、なぜか駆け寄ってきた津野と危うくぶつかりそうになる(「あ〜」という声がめちゃくちゃ可愛かった)。わちゃわちゃとした感じが新たな赤い公園のムードを象徴しているようで、思わず頬が緩む。

1年ぶりのステージは、去年のような異常な緊張感やテンション感はなかったものの、移籍発表も含めて着実に赤い公園が歩みを進めていることを感じさせるものだった。STAR STAGEなんて、きっとひとっ飛びで到着するはず。赤い公園の旅はまだまだ始まったばかりだ。

テキスト=小田部 仁

セットリスト

1. Highway Cabriolet
2. ボール
3. 新曲
4. 新曲
5. 消えない
6. KOIKI
7. 新曲

撮影=小杉 歩

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