- 5.3 FRI 14:40-15:15 CAVE STAGE
- Bentham
美しくも荒々しく――
ポップなBenthamサウンドに潜む野生
須田原生（G&Cho）による豪快なギタープレイに導かれる“TONIGHT”でステージは始まった。本番さながらのリハを直前にしていたこともあり、バンド、観客ともにロケットスタート。後方にいる観客まで拳を掲げ、全力で音塊を受け止める。そうしている間にもCAVEには次々と人が流入し、一気に入場規制がかかりそうな勢い。メンバーが見たらしてやったりな光景だ（実際、「いっぱい集まってくれてありがとう！ うれしー！」とMCで小関竜矢（Vo&G）は絶叫していた）。これだけでも彼らの出演が待たれていたことが伝わってくるし、これだけ待たれるバンドになったのである。「行けますか、ビバラーっ！」という小関の煽りから、“クレイジーガール”へ。ポップな楽曲ではあるが、手触りは非常にオルタナティヴ。
フロントの3人が思い思いに観客への感謝と現在開催中のツアーの告知をした後は、雰囲気を変えて、最新作『MYNE』のオープニングを飾るミドルチューン“cymbidium”をプレイ。辻怜次（B）によるフレージングが気持ちよく、ついそっちに耳が奪われる。
小関がオフマイクで一発大きな気合いを入れてから歌い始めた“僕から君へ”からは、4人がより演奏に入り込んだように感じた。先ほども触れたように、音源を聴いているとポップさのほうが際立っているように聴こえるが、ライヴになるとその印象が間違っていることに気付く。それは技術的な理由ではないし、どんな発言をしていたかということでもない。音と音の間に流れるささくれだった空気、“FATEMOTION”で＜Go! Wake up! Now!＞と荒々しく叫ぶコーラス、熱がこもり過ぎて少しだけヨレるヴォーカル、生々しく鳴り響くスネアの乾いた音といった細かな要素がそう感じさせる。
多分、やり方によってはもっと洗練されたサウンドになるのだろう。最後にプレイした、シンセやコーラスがキャッチーな“MIRROR BALL”なんて特にそう。だけど、彼らの場合はそうはならない。隠しきれない（し、隠すつもりもない）バンドマンとしての泥臭さが、これらの楽曲をいい意味で混じり気たっぷりのバンドサウンドにしてしまうのである。だからこそ、Benthamの音は特別なんだろう。
テキスト＝阿刀“DA”大志
セットリスト
1. TONIGHT
2. クレイジーガール
3. Hope the youth
4. cymbidium
5. 僕から君へ
6. FATEMOTION
7. MIRROR BALL
撮影＝小見山 峻
