VIVA LA ROCK 2019

5.3 FRI 10:15-10:55 STAR STAGE
BLUE ENCOUNT

心で流す汗と涙。
ブルエンが初のSTARで見せた笑顔とプライド。

長年、ビバラで激闘を繰り広げてきたBLUE ENCOUNTの姿を見守ってきたロックファンにとっては感慨深いものがあるはず――初年度のCAVEトリ前から始まり、徐々にステージと序列をステップアップしていき、5回目の出演となる今年、遂にSTAR STAGEへと昇格を果たした。

2014年、とんでもない熱気に包まれたCAVEで田邊駿一(Vo&G)は、もっと大きいステージに立ちたかった、過小評価されて悔しかった。だけど、そんなことを考えている自分をぶっ殺した、と自らの葛藤をぶちまけていた。そんな話のあとにプレイしたのが“もっと光を”。そして今日、念願のSTARの1曲目に選んだのも“もっと光を”だった。

あの時のことを意識していたかどうかはわからない。しかし、VIVA LA ROCKにおける彼らのヒストリーを思い返すと、もうこの時点でグッときてしまう。あれから数多くのステージに上り続けてきた。うれしいこと、くやしいこと、喜怒哀楽なんて言葉だけでは表現しきれないほど様々な思いを味わってきた。その結果として今日、メンバーの顔に浮かんでいたのは、満面の笑みだった。あの頃のようにすっ転びそうなほどの前傾姿勢ではなく、4つの音のバランスがしっかりとれた安定感のある演奏は非常に聴きやすく、観客も朝っぱらから轟音を浴びる喜びを全身で表現していた。

“LAST HERO”を終えた後のMCがまたよかった。「STAR STAGEってこんなにいい景色なんですね! めちゃくちゃうれしい!」とステージ昇格について触れたものの、「これをお涙頂戴の物語にするつもりはない」と落ち着いた口調で田邊は伝えた。たしかに今日のパフォーマンスから気負いは一切感じられない。早起きをして駆けつけてくれた目の前の観客に、今の自分たちの精一杯を出し切る。きっとそういうことなんだろう。

その後に続いた“ハウリングダイバー”も、“ロストジンクス”も、“DAY×DAY”も、楽曲の新旧にかかわらず、曲のテンション感や演奏に一切の違いはない。言い換えると、2019年のBLUE ENCOUNTというものが過不足なく伝わってくる。フェスマジックなんてもんはない、あるのはこの体のみ。そんな達観した思い、プロフェッショナルとしての矜持すら漂わせている。とはいえ、まだ目が覚めきってないフロアに向かって、「そんな声を聞くために頑張ってきたんじゃない!」と叫ぶ姿にギラついたものを感じた。

最後は、6月リリースの新譜から新曲“アンコール”を初披露。演奏前、田邊はこの曲に対する思いを語った。この曲を作るために15年間頑張ってきたのかもしれない。この曲を作れた今、この先何十年もバンドを続けていける、と。楽曲は疾走感のある2ビートをサビに織り交ぜた、ブルエンの新たな代表曲になりそうなサウンド。歌詞をピックアップするのは野暮なので、ここでは割愛する。今日、会場に来られなかったファンは期待してリリースを待つといい。

涙は流さなかった。過剰に汗を飛び散らせるわけでもなかった。最後まで笑顔のパフォーマンスをやり通した。しかし、この曲をプレイする4人の表情の奥から、5年前と変わらぬ激情が一瞬、透けて見えた。ぱっと見のパフォーマンスはあの頃と変わったかもしれない。しかし、ブルエンはいつまで経ってもブルエンなのだ。

テキスト=阿刀“DA”大志

セットリスト

1. もっと光を
2. LAST HERO
3. ハウリングダイバー
4. ロストジンクス
5. DAY×DAY
6. VS
7. アンコール

撮影=釘野孝宏

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