- 5.4 SAT 13:00-13:35 VIVA! STAGE
- CHAI

日本でも、世界でも、宇宙でも関係ない
VIVA STAGEを完全掌握した、CHAI!
「CHAI ワールドツアー“PUNK”」で、世界を飛び回っているCHAIの束の間の凱旋帰国ライヴとなったVIVA LA ROCK 2019 2日目のVIVA STAGE。来週にはイギリス・ブライトンで行われる「The Great Escape」というフェスに出演するというのだから、大忙しである。もはや地球、いや宇宙全体がホーム・グラウンドのCHAI、VIVA LA ROCK 2019でも素晴らしいステージを見せてくれた。
リハーサルでは、Daft Punkの“Get Lucky”をCHAI流にファンキーにグルーヴィーにプレイする。Nile RodgersやPharel Williamsが聴いたらなんて言うだろう……と、爆笑しながら筆者も踊りまくってしまった。
そして、本編開始。2月にリリースした『PUNK』に収録されている“THIS IS CHAI”を出囃子にステージに出てきた4人。ワールドツアー仕様にお腹を出した、ちょっとだけセクシーなピンクの衣装を着ている。CHAIがステージに立っただけで、無駄にテンションが上がってしまうのはなぜだろう。
「Hi! Everybody! We Are CHAI! 今日は観にきてくれてありがとう!」と、VIVA STAGEに集まったオーディエンスに元気よく挨拶するマナ(Vo&Key)。海外でのライヴの際に1曲目に演奏されることの多い、”ボーイズ・セコ・メン”で、スタート。しかし、今年のCHAIはさいたまスーパーアリーナがよく似合っている。やはり、この1年間、日本も含めて世界中で武者修行を行なったことが彼女たちのスケールをひと回り大きくしたのではないだろうか。「CHAIなりのテイラー・スウィフト」を意識したという、ノイジーでパンキッシュでガーリーなロックチューン”CHOOSE GO!”をフロアにドロップし、VIVA STAGEの熱を一気に高めていく。続けて、「Here We go!」の掛け声の合図に“ファッショニスタ”をプレイ。ユナ(Dr)のフロアを地層から揺らすようなリズムとユウキ(B)のぶっといビートが楽曲をグルーヴしていく。
自己紹介コーナーではマナが英語で喋り、ユウキが日本語で通訳をするという定番のスタイル。“自己紹介”ではアルバム『PUNK』をTing Tingsの名曲“Great DJ”のメロディとサウンドに乗せて文字通り、宣伝。これまた定番のマナとカナ(Gt&Vo)のアカペラ・ソングは、また元ネタが変わっていた(ちなみに昨年はMr.BIGの名曲“To Be With You”でした)。今回はマイケル・ジャクソンの“Heal the World”の一節を下敷きに<かわいい for you and for me>という歌詞を歌っていた。もはや、かわいいがゲシュタルト崩壊を起こして、そこら中に溢れている。
CHAIにいつも驚かされるのは、彼女たちは本当になんともない顔して凄いことをやってのけ、しかもそれに対する努力や鍛錬を怠らないことである。以前、海外でCHAIのライヴを観る機会があったのだが、その時よりもより丁寧にわかりやすく、自分たちがテーマとしている「NEOかわいい」というコンセプトを伝えることを目的とした英語で喋っていた。「伝えたい」「自分たちの音楽を聴いてほしい、そのためならなんだってする」というCHAIの四人の強い信念が見て取れた。
MCから、“N.E.O.”、そして”カーリー・アドベンチャー”と立て続けに、楽しくてかわいいだけじゃない、クールでカッコよくて多面的な、すなわちNEOかわいいCHAIの魅力を十二分にVIVA STAGEのオーディエンスにアピールしていく。‟カーリー・アドベンチャー”をライヴで聴いたのは今日がはじめてだったのだが、カナのギターのラウドな轟音がどこかシューゲイザー的な要素も匂わせる、この楽曲はとにかくライヴ映えする。
ユナのタイトでヘヴィなドラムから始まる“We Are Musician”では、ユウキ、マナ、カナがフロントに出てきて踊りながらパフォーマンス。「私たちはミュージシャンなんだ」と強く主張する楽曲を、サングラスをかけ、楽器を持たずに演奏するというところに、実に批評的なパンクのスピリットを感じた。
最後に演奏されたのは、“フューチャー”。この先もずっと続いてくCHAIの旅路の約束とも言える楽曲。もはや、彼女たちには日本や世界などという括りすら意味がない。例えていうなら、宇宙スケールのバンドだ。火星でエイリアンを相手にライヴをやっても、変わらずにCHAIはCHAIらしく演奏するのだろうなぁ、という圧倒的なまでのオリジナリティとスケールの大きなを見せつけられたステージだった。
テキスト=小田部 仁
セットリスト
1. ボーイズ・セコ・メン
2. CHOOSE GO!
3. ファッショニスタ
4. 自己紹介
5. N.E.O.
6. カーリー・アドベンチャー
7. We are Musician
8. フューチャー
撮影=古溪一道