VIVA LA ROCK 2019

5.6 MON 15:50-16:25 CAVE STAGE
ENTH

この魅力、もっと広がれ――
思わず二度見したくなるENTHの素晴らしき世界

今年のENTHは、新作『SLEEPWALK』のリリース後、「夏フェスシーズンなんて関係ねぇ」とばかりに、最近のパンクシーンではなかなかお目にかかれない45本以上におよぶ全国ツアーを敢行中。もしENTHの音楽を知らなくても、この泥臭いスケジュールを見るだけでも彼らの魂の一端がうかがい知れるはず。

そんなふうに全国を駆けずり回っている成果は、3年連続出演となる今年のCAVEでも存分に発揮された。去年のCAVEではトリを務めたが、今年はこの位置に下がった。しかし、裏には大人気バンドが演奏中。そう、今年のENTHはもしかしたらトリよりも大変かもしれない場所を任されたのである。3人はビバラからの期待にしっかり応え、フロアには大勢の観客が。早くも熱気に溢れたCAVEに向けて放たれた1曲目はストレートに疾走するショートチューン“Will”。そして、曲のつながりもわからないぐらいびったりな曲間で“Get Started Together”へとなだれ込む。

とんでもない数のライブをこなしてきただけあって、ステージ運びにかなりメリハリがついてきたように見える。オープニングのように押すべきところでは押し、MCではゆるく。いい具合に肩の力が抜けていて、「大好きなCAVE STAGEに3年連続で出させてもらいました!」と言うだけあって、勝手知ったるこのステージを自由に楽しんでいる。以前は勢い任せで曲の展開が掴みづらいところのあった演奏もかなり引き締まったものになっている。

「今日はお祭りなんで思いっきり酒飲んで帰ってください! 年1のお祭りは自分の誕生日みたいなものなので!」というdaipon(Vo&B)のMCを引き取ってプレイしたのはENTHというバンドの魅力がたっぷり詰まった“HANGOVER”。複数の素材をグッチャグチャに混ぜ合わせ、メロディックかつファニーにまとめ上げた1曲。<ここどこやここどこや今何時?/ところであんただれ?>に続く「オイ! オイ! オイ!」は、サザンオールスターズ“勝手にシンドバッド”の<そうねだいたいね>と同じぐらい中毒性が高い「今、声に出して叫びたい合いの手」のひとつ。ENTHのこういうイビツで強力なフックを持つ楽曲が多くのパンクリスナーの心を掴んでいるんだろう。

最新作だって、どっしりとしたオルタナティヴチューン“SLEEPWALK”で始まる予想外の展開で、正統派メロディックパンクからはほど遠い。だけど、それが彼らの魅力だし、ライヴの流れにも上手くハマり、ENTHの世界をより懐の深いものにしている。40代を迎えたバンドがやりそうなことを20代の今やってしまうんだから面白い。これだからENTHから目が離せないんだ。しかし、音楽の質の高さに見合った人気を彼らが獲得しているとはまだまだ言い難い。今日の大舞台をきっかけにもっともっと彼らの魅力が広がってほしい。

テキスト=阿刀“DA”大志

セットリスト

1. Will
2. Get Started Together
3. “TH”
4. Voo-Doo Shangrila
5. LOVE ME MORE
6. Gentleman Kill
7. HANGOVER
8. ムーンレイカー
9. SLEEPWALK
10. NO FATE
11. Bong! Café’ au lait! Acoustic guitar!

撮影=小見山 峻

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