VIVA LA ROCK 2019

5.6 MON 18:10-18:55 CAVE STAGE
FOMARE

全力の歌よ、ただ君に届け——
灼熱のCAVEを万感のメロディで包み込む!

灼熱ライヴのバトンが受け渡されていき、CAVE STAGEが本物のライヴハウスに変貌し続けた1日。そのアンカーを堂々務めるのはFOMAREだ。

ステージに上がると共に「ビバラ、行けますか!」とアマダシンスケ(Vo&B)がひと声かけると、そのまま“君と夜明け”で口火を切った。アマダとカマタリョウガ(G&Cho)の幼馴染コンビの息の合ったジャンプや押し引き、アマダの美しいメロディをさらに飛ばすカマタのギターの音色、フロントふたりを送り出すように安定したビートを刻み続けるキノシタタクヤ(Dr)。1曲目から、3ピースとして盤石のコンビネーションを感じさせるパフォーマンスを見せていく。何よりも、その華奢な見た目からは想像できないほど大きなアマダの歌声から並々ならぬ気合いが伝わってくる。

「CAVE STAGEで、あっちの2ステージではできないことしよう!」という言葉とともにプレイされた“雨の日も風の日も”では、歌い出しをまるまる観客に預け、端から端まで大きなシンガロングが巻き起こった。その歌声を浴びながらさらに昂ぶっていくアマダは、さらに歌声を伸び伸びと解放していった。

MONGOL800のメロディに衝撃を受け、2000年代初頭の洋楽ポップパンクを浴びて育ってきたアマダを中心に結成されたFOMAREは、どこまでも跳べるメロディのバネを誇りながら、同時に、聴く人のフィジカルな衝動を呼び覚ますアグレッションも持ち併せている。最初期の楽曲である“新しい歌”では特にその二輪がシンプルに感じられるのだが、音楽の原風景に誰よりもアマダ自身がブチ上がりながら、叫びギリギリの声で、翼の生えたメロディをぶっ放していく。

ライヴを観ていて気づいたことだが、アマダの歌の表情は、率直な気持ちをシンプルに伝えていくMCのそれと相違がない。心からの言葉を話すように歌うし、気持ちを届けたいと全力で歌う時のように話す。メロディの力に加えて、歌と言葉の間に線を生まない「素直な表情」がFOMAREのライヴのチャームであり武器になっているのだ。そして、過去の恋の後悔をエネルギーに転化しようともがく歌が多いバンドだが、その情けなさを自分自身が誰よりも理解しているからこそ、その全部を歌とメロディとMC全部で曝け出そうとアマダはもんどり打って表現し続けている。

「どんなに弱いところが自分にあっても、ベースを持ってマイクの前に立つと、強くなれる気がします。その強さを武器にして歌っていきます」(アマダ)

歌詞にしてもライヴのスタイルにしても、決して器用なバンドではない。ただ、誰よりも大きな声で自分の気持ちと後悔を歌いたいし、後悔や情けなさも大きな声で歌える歌にすれば、それが未来への教訓と指針になっていくのだと真っ直ぐに信じている。声がひっくり返ったとしても叫びのまま一直線に歌い切った“タバコ”、カマタのギターが本当に泣いているように響き渡った“Lani”。気づけば延々鳴り止まなくなっていたCAVE全体の大合唱は、心の一番温かいところに触れてしょうがない彼の歌とメロディの力でこそ生めたものだ。

本編ラストに披露された新曲“Continue”は、シンプルな2ビートの上でアマダのファルセットが映えるメロディックパンク。そしてアンコールで披露されたもうひとつの新曲“Frozen”は、モッシュパートを軸にしながらも細やかなテンポチェンジがドラマティックな展開を生み出していく新機軸。出会った当初から語ってくれている原風景としてのメロディックパンクを素直に血肉にしつつ、4日間のトリという晴れ舞台だからこそ新たなフェーズを示した万感のアクト。彼らがステージを降りた後も、じっとりとした熱気はなかなか冷めることがなかった。「また来年もビバラに出る!」とアマダは叫んでいたが、その歌の翼をさらに広げて彼らが還ってくるのが、早くも今から楽しみだ。

テキスト=矢島大地

セットリスト

1. 君と夜明け
2. 雨の日も風の日も
3. 新しい歌
4. 風
5. 夢から覚めても
6. stay with me
7. mirror
8. HOME
9. タバコ
10. Lani
11. Continue
EN1. Frozen
EN2. 君と夜明け

撮影=小見山 峻

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