VIVA LA ROCK 2019

5.4 SAT 17:50-18:25 GARDEN STAGE
Ghost like girlfriend

雷雨と雹を跳ね飛ばした
感謝と決意に満ちた35分間

突然の雷雨と雹のため、一時中断し、本来の開始時刻から40分遅れでのスタートとなったGhost like girlfriend。しかし、彼を待ち受けていたのは、雨風を物ともせずそのライヴを一目見ようと集まった数多くのオーディエンス達だった。この日、Ghost like girlfriendが披露した35分間のセットは、そんなふうに音楽と真正面から向き合おうと誓った忠実なオーディエンス達に心からの感謝の想いを捧げるものだったように思う。

Ghost like girlfriendは岡林健勝によるソロプロジェクト。”(want) like (lover)“や”煙と唾”のように現行のシティ・ポップとのリンクを感じさせる楽曲や、洋楽のヒットチャートと日本の歌謡曲の双方の要素が絶妙に絡み合うポップネスを持ったGhost like girlfriendの楽曲は、ライヴで聴くとより普遍的なものとして聴こえてくる。新しい時代のJ-POPとでも呼ぶべき、一時期の米津玄師や星野源にも感じた新たなスタンダードの萌芽のようなものが確実にそこにはある。

「こんなに集まってくれると思っていませんでした。ふざけんなよ、樹々達よ(笑)。泣きそうです。でも、こんな日だからこそいい思い出にして皆さんを帰します」と、Suchmosが昨年のFUJI ROCK FESTIVALで言い放ったMCを拝借しつつ、披露された”fallin’”。Ghost like girlfriendが注目を集めるようになったきっかけの楽曲でもあるこの曲をオーディエンスも待ちわびていたようで、この日一番の歓声が上がる。

フリーキーで、ロックな要素も感じさせる”Shut it up”の中盤からに徐々に空が晴れ始める。続く、”髪の花”では夕陽がステージに差し込み始め、少し雲のかかった深い色の青空がGARDEN STAGEの上に広がる。そこに響いた岡林とオーディエンスの合唱は実に美しかった。 「MUSICAの取材で鹿野さんに、いつかVIVA LA ROCKに出してくださいって言ったら、それまで笑顔だったのが一気に曇り始めたので、これはもう干されたなと思ったんですけど出させてもらって。これは、やっぱり鹿野さんが『風』を送ってくれたんだと思ってます。来月メジャー・デビューなんですけど、これで自惚れたくないです。一から頑張っていきますのでよろしくお願いします。今日はこんなに埋まっていると思ってなかったし、感動的な景色に出会えて嬉しいです」

最後に演奏されたのは、”Last Haze”。壮大なスケールを持ったサウンドと全力を尽くして歌い上げる岡林の姿に鼓舞され、オーディエンスも最後の力を振り絞って、拳を突き上げる。明らかにアゲインストな最悪の状況を、最高の思い出に帰ることに成功したGhost like girlfriend。確かな実力と一握りの幸運を持ち合わせた彼は、きっとまた奇跡のような思い出に残るステージをここVIVA LA ROCKで見せてくれるはずだ。まずは、6月19日にリリースされる1stアルバム『Version』が今から待ち遠しくて仕方ない。

テキスト=小田部 仁

セットリスト

1. sands
2. (want)like(lover)
3. 煙と唾
4. fallin’
5. shut it up
6. 髪の花
7. Last Haze

撮影=小杉 歩

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