VIVA LA ROCK 2019

5.3 FRI 18:30-19:15 VIVA! STAGE
go!go!vanillas

未来への意思に満ちたステージ
地獄の底からの希望の叫び

VIVA LA ROCK 2019初日、VIVA! STAGEのラストを飾ったgo!go!vanillas。昨年、12月に長谷川プリティ敬祐(B)が交通事故に遭い、現在療養中なのは広く知られるところだが、この日のステージは長谷川のプレイ音源を同期させつつ、牧達弥(Vo&G)、ジェットセイヤ(Dr)、柳沢進太郎(G)の3人編成で演奏するスタイルのライヴとなった。

3人編成になっても、あくまでも攻撃的なスタイルで攻めるgo!go!vanillas。1曲目から、go!go!vanillas屈指のキラーチューン“平成ペイン”を叩き込む。リフの1音目が鳴っただけで、アリーナに集ったオーディエンスが全員熱狂するなんて光景、そうそう観れるものじゃない。続けて、初夏の風が薫った、今日のような日のステージにはふさわしい夏をテーマにしたナンバー“SUMMER BREEZE”では、牧の「Everybody clap your hands!」という煽りに応えて、ハンド・クラップがVIVA! STAGEのグルーヴをgo!go!vanillasと共に作っていく。

それにしても、すごい盛り上がりである。“エマ”では「1・2・3! 跳んで!」と柳沢がオーディエンスに呼びかけていたが、そんなこと言われるまでもないとばかりに、ずーっとジャンプし続けている観客たち。go!go!vanillasの4人の楽曲が、骨の髄まで染み込んでいるような人々が、今日、この場には集結していた。
「今日は3人で立っております。プリティが事故に遭ってしまって療養中なのですが、彼の音を使って演奏しているので実質4人の音だと思っています。go!go!vanillasの音楽を楽しんでもらいたいです」と、あくまでも4人でgo!go!vanillasであるということを強調した牧。もちろん本人の演奏が一番だが、ここまでの3曲を聴く限り、補って余りあるスリリングな演奏を聴かせてくれている3人。3人だからこそ、いつもと変わらない、あるいはそれ以上の演奏を聴かせたいという気概を感じた。これでプリティが戻って来たら一体どうなるのだろう……と、むしろ未来が楽しみになった。

「鹿野さん、この状態でも呼んでくれて、ありがとう。転がり続けて、まだまだイケると確信してくれてトリをやらせてくれて、ありがとう。そういう人たちや、みんながいるから、音楽でまだまだバカやれると思っています。今日は思いっきり、go!go!vanillasの音楽を楽しんでいってください」
と、VIVA LA ROCKプロデューサー・鹿野淳とオーディエンスへの感謝の念を述べ、演奏されたのは新曲“パラノーマルワンダーワールド”。<Light my fire>という歌詞と呼応するように、ステージからは火柱が上がる。柳沢の情熱的なギター・ソロが冴え渡っていた。「まだまだ新曲やってもいいですか? 新曲でも体を揺らして楽しめるか?!」と、駄目押しとばかりに次なる新曲“Do You Wanna”を演奏する3人。長谷川がいないということを逆手に取り、ベース音だけでなくキーボードの音も同期されており、それがまた新たなgo!go!vanillasの魅力を花開かせていた。70年代ディスコを彼らなりに解釈したようなサウンドは非常にダンサブル。ツインギターのソロを決めた後、ハンド・マイクに持ち替えて、歌い上げる牧の姿はこの上なくセクシーだった。

VIVAの意味はバンザイという意味であるとオーディエンスにレクチャーし、万歳を要求する牧。“カウンターアクション”の演奏が始まっているにもかかわらず、「バンザイ VIVA LAに来れてよかった!」と、なぜかウルフルズの“バンザイ ~好きでよかった~”の一節をもじり、無茶なコール&レスポンスを要求。その後も「明治・大正・昭和・平成・令和!」「新しい時代もWe love Rock’n Roll!」「VIVA STAGEでgo! go! vanillas!」と、かなり難易度の高い掛け合いを次々と欲する牧。しかし、それに難なくついていくオーディエンスも相当いい感じに調教されている……。
さらに「ここからが本気」とばかりに、ジャケットを脱ぎ捨てた牧は「まだまだいける? こんなもんじゃねぇよな、騒ごうぜ!」と、さらにVIVA STAGEを煽りあげる。カントリーロックやロカビリー、オリジナル・ロックンロールをgo!go!vanillas流に解釈した楽曲“マジック”では、オーディエンスだけでなく、VIVA STAGEの後ろに据えられていたバルーン巨人3体も踊り出す。

「俺たちのロックンロール、届いているかい? この曲を最後に届けて帰りたいと思います。俺たちがピンチになったとき、急にどんどん追い込まれて辛かったとき、この曲が状況を変えてくれました。どんだけ地獄の底にいたってやれるぞ。思いっきりブチ上がろう!」
本当に地獄の淵を見た人間だからこそ、語れる言葉というものがある。転がり続ける石のように、決して止まらず、どんなに辛いことがあっても、進み続けることこそがロックンロールだ……という、ロックという音楽に宿るスピリットを体現してみせるgo!go!vanillasは、どこまでもカッコいい。4人が最後に演奏した“No.999”は、まさにそんな彼らのアティチュードを体現していた。

「来年は4人であっちのステージに立ちてぇなぁ」と、STAR STAGEを見つめながら言った牧。その日は絶対にやってくる。そして、その時には僕らは今まで観たことも聴いたこともなかったような、ロックンロールを目の当たりにすることになる。そう確信した、力強い気概と意思に満ちた素晴らしいステージだった。

テキスト=小田部 仁

セットリスト

1. 平成ペイン
2. SUMMER BREEZE
3. エマ
4. パラノーマルワンダーワールド
5. Do You Wanna
6. カウンターアクション
7. マジック
8. No.999

撮影=古溪一道

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