VIVA LA ROCK 2019

5.4 SAT 18:35-19:20 VIVA! STAGE
Official髭男dism

問答無用のポップスエンターテイメント!
日本の音楽シーンに髭男が新たな歴史を刻む瞬間を見た

歴代のビバラのタイムテーブルを眺めていると、ブラックミュージックからの影響が感じられるアクトの出演が年々増えていることがわかる。これはビバラがそういう方向にシフトチェンジしたというよりも、そういったタイプのアーティストの存在感が日本の音楽シーンで高まっていることを意味する。今年、髭男が初出演でVIVA! STAGEのトリを務めるという事実も、その傾向を決定づけるトピックのひとつではなかろうか。

彼らがこの大舞台に向けて大いに気合いが入っていることはリハでわかった。なんとサックス、トランペット、トロンボーン、パーカッション、キーボードを加えた大編成で乗り込んできた上に、完全に本域のテンションでリハをカマしたからだ。

“ノーダウト”から始まった本編は想像の遥か上をいく素晴らしさだった。演奏は前のめりになることなく、重心は低め。松浦匡希(Dr)を中心とした後ろノリの大きなグルーヴに、観客は気持ちよさそうに身を任せる。さらに、“Tell Me Baby”の間奏では、バンド一体となったファンキーなアンサンブルがさらに大きくVIVA! STAGEを揺さぶる。

ライヴを観るまで楽曲のよさに引きずられて演奏に対するイメージが薄かったのだけど、このバンド、恐ろしく演奏が上手いし、日本人のバンドにはあまり出せない黒いグルーヴがドロドロに溢れ出ている。特に、松浦のようなドラムをポップスで鳴らすバンドは珍しいのでは。これはうれしい驚きだ。驚きと言えば、“ブラザーズ”で楢崎誠がベースをバリトンサックスに持ち替えて演奏していたのも衝撃的だった。多才!

MCで「ライヴは面白いなあ」と漏らしていた藤原聡(Vo&Pf)のボーカルが存分に発揮されたのは“LADY”。セクシーだが甘すぎず、一聴してすぐにそれとわかる凛々しい歌声。Cメロで聴かせるどこまでも伸びていきそうなロングトーンが最高に気持ちいい。特に曲終わり間際のロングトーンにはどよめき混じりの拍手が贈られていた。

音源では伝わりきらない魅力を次々とビバラの観客に見せ付ける髭男の面々だが、結局のところ、上記に挙げたどんな要素にも勝るのが楽曲のキャッチーさ。しかも、歌メロだけでなく、巧みなアレンジであらゆる場所にフックを仕掛けている。小笹大輔のギターをフィーチャーしたファンクロックチューン“FIRE GROUND”で極上の演奏を聴かせたかと思えば、“Stand By You”では、大シンガロングと大ハンドクラップを誘発する鬼キャッチーなサビでフロア全員の心を根こそぎ奪っていく。こんな曲、反則だろ。

そして、とどめを刺したのは“異端なスター”。曲の終盤、藤原はイヤモニを外し、観客全員と最後のコールアンドレスポンスを交わす。そして、歌詞を少しだけ変えて高らかに歌い上げた。<明日からも 怖がらずに どうか 叫んで 歌って>と。この音楽があれば生きていける、なんてチープな言葉は簡単に使いたくはないけども、心に暖かな火がポッと灯ったことは確かだ。Official髭男dismの面々に最大級の感謝を。

テキスト=阿刀“DA”大志

セットリスト

1. ノーダウト
2. Tell Me Baby
3. バッドフォーミー
4. LADY
5. ブラザーズ
6. FIRE GROUND
7. Stand By You
8. 異端なスター

撮影=古溪一道

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