VIVA LA ROCK 2019

5.5 SUN 9:40-10:15 VIVA! STAGE
Hump Back

僕たちは時代になるんだ――
響き渡ったHump Backの決意

VIVA LA ROCK 2019、3日目の開幕を告げたのはHump Back。朝早い時間にもかかわらず駆けつけた本当にたくさんのオーディエンスを前に嬉しそうな笑顔を見せた3人は、拳を付き合わせ気合いを入れると、エネルギーに充ち満ちたパンキッシュな1曲、“生きて行く”でライヴをスタートした。曲中「気持ちいい!」と、清々しい顔で叫んだ林萌々子(Vo&G)。いや、こんなカッコいいロックンロールが朝から聴けて、こちらも本当に最高に気持ちいいです。

「まだ行けるか! 起きてるか!」「お互い、やりたいことやって帰ろうぜ!」と、すでに大興奮に包まれているVIVA! STAGEのオーディエンスを煽りあげるHump Back。“高速道路にて”の疾走するギター・リフがさいたまスーパーアリーナに響き渡るとさらに大きな大歓声が上がった。

「ステージに出る前にELLEGARDENが会場に流れていて、めちゃくちゃ(テンションが)アガっちゃった」と、嬉しそうに呟いた林。この人たちは本当にロックンロール、そしてロックバンドというものを根本からすごく愛しているんだなというのが伝わってくる言葉だった。事実、MCでも繰り返し「ロックバンドを私たちは選んできた」と林は言っていた。

「初めて兄貴の部屋に忍び込んで音楽を聴いたあの日から、初めて3人で音を鳴らしたあの日から、初めて人前に立ったあの日から、夢はたったひとつ、あの頃と変わらず、バンドをやりたいっていうこと。それを今日、ここさいたまスーパーアリーナで叶えさせてもらってます。ありがとう」

ロックを初めて聴いた時に感じた興奮、ロックバンドというものへの憧憬――Hump Backは、抱いた夢や初期衝動を決して忘れずに日々を未来に向かって生きていこうと歌う。次に演奏された“拝啓、少年よ”は、まさにそんな林の思いがこもった1曲だった。「僕たちは流行りになりたいわけじゃない。僕たちは時代になるんだ」と、流行として消費されるのではなく、自ら歴史を作っていくことを誓い叫んだ“短編小説”を経て、未来を心の底から希求する<いつか>という林のシャウトがこだました“クジラ”まで、勢いよく一気に駆け抜けていく。

「誰かに合わせて何かをやるなんて、そんなのは音の鳴る場所ではいらないんで。自分のやりたいようにやってください。大合唱が聴きたいんじゃなくて、あなたの、君の、大合唱が聴きたいんです」

林の言葉に導かれ最後に演奏されたのは、“星丘公園”。VIVA! STAGEのオーディエンスから巻き起こる大合唱を聴いていると、すでにこの曲が今の時代を代表するアンセムとしてリスナーに根付きはじめていることがわかった。「ありがとう。来年にはもっともっとでっかい歌声になるように、精進します」と、観客に感謝の言葉を述べつつ、さらなる決意を語った林。その光景は実に感動的で、まさにハイライトと呼べるものだった。ロックを信じ、バンドを愛し、自らを鼓舞しながら夢を追い求めていった結果、その音楽と姿に共鳴した人々と共に、バンド自体がひとつの時代を形成する――Hump Backにも、きっとそんな未来が待っているに違いない。そんな確信を覚えたステージだった。

テキスト=小田部 仁

セットリスト

1. 生きて行く
2. 高速道路にて
3. 拝啓、少年よ
4. 短編小説
5. クジラ
6. 悲しみのそばに
7. 星丘公園

撮影=古溪一道

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