VIVA LA ROCK 2019

5.3 FRI 19:30-20:30 STAR STAGE
KEYTALK

2010年代のロックフェスを代表するバンドが
初の大トリで新たな時代の景色を描く

3年連続のSTAR STAGE出演で、初めての大トリ。しかも、2010年代後半にロックフェスで名を上げた若手〜中堅バンドがずらりと顔を揃えたこの日のSTAR STAGEの中にあって、彼らがその代表としてトリを務めることには、大きな意味があるように思う。つまり、この日のSTAR STAGEは2010年代後半のロックフェスが積み上げてきた歴史の集積であり、その中を歩んだKEYTALKにとってはひとつの大きな区切り。そんな風に言ってもいいのではないだろうか。

「区切り」という意識は、少なからず彼ら自身にもあったかもしれない。大バコ仕様の4つ打ちダンストラックをSEにメンバーが登場し、寺中友将による「VIVA LA ROCK、始めようぜ!」の一言とともに始まった一曲目は、メジャーデビューシングルの“コースター”。代名詞である直線的な4つ打ちのビートが走り出し、首藤義勝と寺中がツインボーカルでグッドメロディーを紡ぐと、早速フロアが大きく揺れ出す。それに続くのは、メジャーセカンドシングルの“パラレル”で、今度は大合唱に包まれた。歴史の始まりを今ここで再び鳴らしたことには、意味があるだろう。

「今年からスタジアムモードになって、その一日目の大トリということで、かなり気合いが入っております! 半端ないお祭り状態にしたい!」と“MATSURI BAYASHI”が始まると、特効の炎が吹き上がる。首藤のスラップベースや小野武正のギターソロ、八木優樹のツーバスなどでプレイヤーとしての確かな技量を示しつつ、寺中の「祭りじゃ祭りじゃ!」のコール&レスポンスのように、盛り上げるところは徹底して盛り上げる。インディーズ時代の楽曲である“a picture book”は、彼らが昔からライブでの機能性が高い楽曲を作り続けてきたことを証明し、さらには“桜花爛漫”と畳み掛け、ここまでは横綱相撲。オーディエンスと一緒に遊び方を作り上げてきた感もある。

中盤ではミドルテンポの楽曲を並べ、首藤がピンボーカルで歌う“雨宿り”は、AOR風の曲調も含め、ソングライターとしての、ヴォーカリストとしての意識の変化を感じさせる一曲。温かみとメランコリーの同居したメロディーが印象的な“バイバイアイミスユー”では場内がスマホのライトで照らし出され、感動的なシーンを作り出す。首藤が「最高の景色をありがとう」と感謝を告げると、“Love me”では一転してオーディエンスが飛び跳ね、何ともハッピーな空間が生まれていた。

この日改めて感じたことは、KEYTALKは決して無闇にオーディエンスを煽ったりしないし(小野のぺーいコール以外)、想いを熱く語りかけるわけでもないということ。MCは至って普通で、メンバーに親近感を覚えているファンも多いはず。その代わり、彼らはあくまで楽曲と演奏で勝負し、その進化に合わせて、最大限のパフォーマンスをしてきた。そして、ライブ終盤で披露されたのが、レーベル移籍を経て、5月15日にシングルとしてリリースされる“BUBBLE-GUM MAGIC”。BPMを落とし、音数を絞ってファンクネスを生み出しつつ、EDMにも通じるビッグなコーラスとシンセを組み合わせたアンセミックな一曲で、明確な新境地だ。この曲を繰り返し演奏することで、また新たなパフォーマンスが生まれ、バンドを次の景色へと連れて行くことになるのだろう。

本編ラストはKEYTALK流フェスロックの極点(それは2010年代後半のフェスロックの極点とも≒だ)である“MONSTER DANCE”で締め括り、アンコールでは埼玉が小野と首藤の地元だという話題から、「早くこの会場でワンマンがしたいね」と話をして、“Summer Venus”で大団円。大サビでは大量の銀テープが発射され、恒例となっている巨匠の一気で祭りは幕を閉じた。KEYTALKに改名してから今年で10年。2010年代に華々しく別れを告げ、新たな物語をスタートさせる。

テキスト=金子厚武

セットリスト

1. コースター
2. パラレル
3. MATSURI BAYASHI
4. YURAMEKI SUMMER
5. a picture book
6. 桜花爛漫
7. 雨宿り
8. バイバイアイミスユー
9. Love me
10. BUBBLE-GUM MAGIC
11. MONSTER DANCE
EN. Summer Venus

撮影=釘野孝宏

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