VIVA LA ROCK 2019

5.5 SUN 13:55-14:30 CAVE STAGE
マカロニえんぴつ

端正なポップと熱いロック魂
入場規制のCAVE STAGEに響き渡った歌

メンバー全員が音大出身であることでも知られる4人組のポップバンド、マカロニえんぴつがVIVA LA ROCKに初登場。一時期は4つ打ちロックのイメージもあったが、近年はThe Beatlesはじめとしたルーツを自然に楽曲に反映させ、現在のバンドシーンではありそうでない端正なポップスを展開。最近ではあいみょんの対バンツアーに招かれるなど、知名度をグングンと広げている。CAVE STAGEは入場規制。期待感がものすごい。

The Beatlesの“Hey Bulldog”をオープニングSEにメンバーが登場すると、はっとりが「ビバラ!」と叫び、1曲目に始まったのは“鳴らせ”。疾走感のあるロックナンバーにフロアからは熱狂的なリアクションが起こるが、「そんなもんですか、ビバラロック?」とさらに煽り、盛り上がりを加速させて行く。ピアノのイントロとともに大歓声の起こった“レモンパイ”は、ラップ調のヴォーカルやひねりのあるブレイクなど、ストレンジポップ的なセンスを感じさせる1曲。しかし、バンドアンサンブルはあくまで骨太で、このバランスが面白い。

「やっとMUSICAにマカロニえんぴつが見つかってしまいましたね。ずっと憧れていたフェスなので、出れて嬉しいです。お祭りなんで、めでたい曲をたくさんやろうかな」と話すと、軽やかな4つ打ちに乗るグッドメロディーと、キーボードの多彩なアプローチが印象的な“ブルーベリー・ナイツ”を披露。3月に配信された新曲“青春と一瞬”はいかにも英国の香りがするミドルバラードで、シンガロングの渦が巻き起こる。こういう「みんなのうた」を作ることのできるバンドは貴重。

入場規制がかかっていることを伝え、改めてオーディエンスに感謝をすると、「今日初めて見た人は、バラード系のゆっくりな曲が多いと思ってるかもしれないですけど、そんなことないですよ。フェス向きの曲も持ってます。どうせなら、汗かいて帰りたいですよね? 最低限の生活にはビバラロックですかね?」の言葉に歓声が上がり、ダンサブルな“洗濯機と君とラヂオ”へ。さらに性急なリズムで畳み掛ける“ハートロッカー”は、長谷川大喜のジャズ由来の速弾き、田辺由明のハードロック由来の速弾き、それを下支えする高野賢也の安定したプレイと、それぞれの個性が盛り込まれている。楽曲からメンバーの顔が見えるというのは、バンドとしての大事な部分だ。

「こんな景色が見れるとは思ってもみなかったです」と感慨深げにフロアを見渡し、ビバラのプロデューサーである鹿野が大事にしているという3つのこと「いつもこれが最後だと思う」「終わりを惜しむ」「愛される前に愛する」に共感したという話から、「でも、僕らはいつも先に愛されて、もらってばかりで悔しいです。だから、これからもらった愛を2倍にも3倍にもして返すので、どんどん音楽で会話して行きましょう。離しませんから」とオーディエンスに伝えると、最後に演奏されたのは“ミスター・ブルースカイ”。はっとりは最後までエモーショナルに歌を届け続けた。端正なポップと熱いロック魂、これぞマカロニえんぴつ。

テキスト=金子厚武

セットリスト

1. 鳴らせ
2. レモンパイ
3. ブルーベリー・ナイツ
4. 青春と一瞬
5. 洗濯機とラヂオ
6. ハートロッカー
7. ミスター・ブルースカイ

撮影=小見山 峻

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