VIVA LA ROCK 2019

5.5 SUN 17:00-17:35 GARDEN STAGE
マキシマム ザ ホルモン2号店※フランチャイズ店メンバー

選ばれし「2号店メンバー」たちが見せた
「コッテリの継承者」としての生き様

ついにこの日がやってきた。マキシマム ザ ホルモン2号店の初ステージだ。

今年2月に突如、音楽業界初のフランチャイズ制の導入を記者会見で発表したマキシマム ザ ホルモン。そこから開始した「2号店メンバー」の募集には約1,000名からの応募が集まり、書類での1次審査を経て、対面オーディションの2次審査、そして最終審査の模様は、YouTube番組『ガチンコ ザ ホルモン~コッテリの継承者たち~』で逐一明らかにされてきた。

「『本店』であるマキシマム ザ ホルモンのスピリットを受け継ぐ『2号店』を新たに作る」という宣言の下、応募してきた候補者たちの人間性や、バンドの魂を継承させようとする「本店」メンバーたちの思い、そして選ばれた者と選ばれなかった者の歓喜と落胆をドキュメント番組のスタイルで見せてきた。

そして、映えある2号店メンバーの5人が同YouTube番組で発表されたのが、昨日、5月4日のことである。

はっきり言って、前代未聞の企画である。フランチャイズ制という発想も、フランチャイズメンバーの選考をリアリティーショーにしてしまうというのも、日清食品「カップヌードル コッテリーナイス」のアウトサイダー広告代理人となり、企画自体をそのプロモーションのクリエイティブとして成立させてしまうというのも、マキシマムザ亮君にしかできないユニークすぎる発想だろう。

というわけで、記者会見の時から発表されていたビバラ出演。つまり2号店の初お披露目が、このライヴだ。GARDEN STAGEは屋外フリーエリアであるVIVA LA GARDENに位置するステージだが、多くのオーディエンスが詰めかけることが予想されたため、当日13時30分から5月5日チケット購入者限定で優先入場券を配布するという異例の措置に。結果、速攻で定員に達して満員状態のステージエリアはもちろん、さらにその周りにも「一目だけでも観たい!」、「姿は見えなくても音だけでも聴きたい!」という大勢の人々が詰めかけ、VIVA LA GARDEN史上最も高い人口密度を記録した。

開演時刻。大歓声に迎えられ、赤飯(Vo)、タクマ(Vo&G)、わかざえもん(B&Cho)、オマキ(Dr&Vo)、DANGER×DEER(DJ)というフランチャイズメンバーの5人が登場。1曲目に披露したのは“ぶっ生き返す”。GARDEN STAGEのエリア内も、その周囲にぎっしりと集まったオーディエンスも、ヘッドバンギングで熱く盛り上がる。続く“包丁ハサミカッターナイフドスキリ”ではサークルモッシュとクラウドサーフが巻き起こる。すさまじい盛り上がりだ。

「マキシマム ザ ホルモン2号店でございます」と、メンバーを代表して赤飯が挨拶。そして「2号店メンバーたるもの品行方正たれと言われていますので、この口調でやらせていただきます」と丁寧な口調でMCを始め、「ロックバンドらしい立ち振舞い、言葉づかいに変えさせていただいてもよろしいでしょうか?」と告げて、激しくシャウトしオーディエンスを煽る。

さらには“シミ”、“「F」”を続けてプレイ。いくつかの曲を披露していく中で「2号店」ならではのユニークな部分も見えてきた。

まずは何より、オメでたい頭でなによりのヴォーカリストでもある赤飯の変幻自在の歌声だ。野太いシャウトから女性のような繊細な声まで駆使し、「本店」ではダイスケはんとナヲの歌う「キャーキャーうるさい方」と「女声」の両方のパートを担当している。

さらには世界中のEDMフェスで活躍するDJ、KSUKEが「中の人」であるDANGER×DEERが手掛けるシンセサウンドが加わることで、原曲がSkrillex以降のブロステップやハードスタイルのようなダンス・ミュージックの最新モードにアップデートされている。

さらに、オーディションを勝ち抜いたタクマ、わかざえもん、オマキの人間味が加わることで、曲の背景に様々な物語性が加味されていた。

ウォール・オブ・デスが巻き起こった“「F」”を終え「コッテリ生きて、コッテリ死ぬ! 俺たちがコッテリの継承者、マキシマム ザ ホルモン2号店だ!」と名乗りを上げた赤飯。マキシマム ザ ホルモンのライヴでの恒例「恋のおまじない」も、「2号店の一味違ったおまじない」として「麺カタ! コッテリ! ナイス!」にアレンジしていた。

最後のMCで赤飯は「ただのコピーバンドではございません。いろんな思いが渦巻いています。いろんな感情を抱えて来ている人がいると思います。俺たち自身も、思っている以上にいろんなことがありました」と語る。そして、誰より悔しさを抱えているだろう落選したオーディションメンバーに「お前らの思いを背負ってやってるつもりだから」と告げ(落選したメンバーの何人かはオーディエンスとしてこの場に駆けつけていた)、「いろんな思いが、ごっちゃになって、滲み出たもの、それがマキシマム ザ ホルモン2号店の味だ!」と叫び、万感の思いを込めて “恋のメガラバ”を披露した。

全ての演奏を終えると、ステージ袖で見守っていたマキシマムザ亮君、ダイスケはん、上ちゃん、ナヲの「本店」メンバーの4人がステージに登場。2号店メンバーの5人をねぎらう。そして、ダイスケはんが「満場一致で一つの答えが出ました。マキシマム ザ ホルモン本店、ライヴ活動復活するぞ!」と6月からのライヴ活動再開とツアー開催を告げ、大歓声と共に終幕となった。

前代未聞の記者会見から、数ヶ月前にわたる準備を経て、辿り着いた「2号店」の初お披露目ライヴ。彼らの言う通り、それは単なるコピーやカヴァーではなく、そのステージには確かに「本店」から受け継いだ「生き様としてのコッテリ」が展開されていた。予想以上の感動があった。

テキスト=柴 那典

セットリスト

1. ぶっ生き返す
2. 包丁ハサミカッターナイフドスキリ
3. シミ
4. 「F」
5. 恋のメガラバ

撮影=浜野 カズシ

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