VIVA LA ROCK 2019

5.5 SUN 16:35-17:15 VIVA! STAGE
Nothing's Carved In Stone

11年目の新たな「始まり」
四人の猛者たちが見せつけた決意

昨年結成10周年を迎えた、Nothing’s Carved In Stone。自主レーベル「Silver Sun Records」を立ち上げ、新たな旅路を歩み始めた4人がVIVA LA ROCK 2019、3日目のVIVA! STAGEに現れた。手練れの猛者達らしい堂々たる余裕の風格を見せつけながらも、血気盛んな新人バンドのように貪欲かつ容赦なく序盤から“Spirit Inspiration”、“Honor is Gone”と続けて、性急なロックンロールのダイナミズムとサイケデリックな酩酊感を併せ持つ楽曲を、次々とフロアに叩き込んでいく。

「みんな来てくれて、ありがとうございます。2号店とかじゃなくて、申し訳ないですね(笑)。こっちは一応、本店なんで」と、裏のGARDEN STAGEで演奏しているマキシマム ザ ホルモン2号店について、冗談めかして言及しつつ、VIVA! STAGEに集まったオーディエンスたちに感謝の気持ちを伝える村松拓(Vo&G)。
泣くほど辛かったという産みの苦しみを経て綴られた日本語詞が、この上なく美しい“村雨の中で”、生形真一(G)と日向秀和(B)の人間離れした超絶技巧のギターとベースのアンサンブルが光った“Milestone”で、Nothing’s Carved In StoneはVIVA! STAGEを完全に手中に収めた。

「今年で11年目です。でも、俺たちは今年が1年目だと思って、初期衝動をもってやっていきたいと思っています。今、バンドで独り立ちをして、何もかも初めての状態でやっています。淡々と喋ってますけど、エネルギーに満ち溢れている次第です。新しい一歩を踏み出そうみたいな時期でして、そういう想いを曲に込めて見ようと思って。これを聞いてくれた人の心とつながって、遠くまで行けそうな曲が出来上がりました。新曲やります」

朴訥としていながらも、確かに熱い想いのこもった村松の言葉と共に演奏された、新曲“Beginning”。「始まり」と名付けられた、その曲は確かに村松が語ったとおり、Nothing’s Carved In Stoneとオーディエンスが歩んできた道のりを振り返りつつ、新しい旅路を自ら言祝ぎ、決意を新たにする誓いの宣誓のような楽曲だった。

「ありがとうございました。Nothing’s Carved In Stoneでした。最高の夜にして帰ってください」——ライヴも残す所、あと2曲。四人が放射する音に飲まれながら体を揺らしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまった。ステージ前方から飛び出す火花、“Out of Control”のイントロが始まると、オーディエンスもここで完全に自らのコントロールを失ったようだった。

最後に彼らがプレイしたのは“Shimmer Song”。混沌と秩序を行き来しながらヘビーでラウドな音像を幾重にも折り重ね、カオスと美が同居するロックンロールのつづれ織りを編んでいく、そんなNothing’s Carved In Stoneのサウンドの極致とも言える楽曲で、この日のステージは大団円を迎えた。

10周年を経てもなお、停滞することなく自力を信じて挑戦し続ける彼らの決意の強さを目の当たりにし、ロック・バンドを続けるということのひとつの答えを見た気がした。

テキスト=小田部 仁

セットリスト

1. Spirit Inspiration
2. Honor is Gone
3. 村雨の中で
4. Milestone
5. Beginning
6. Out of Control
7. Shimmer Song

撮影=古溪一道

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