VIVA LA ROCK 2019

5.4 SAT 9:40-10:15 VIVA! STAGE
never young beach

さいたまから時と場所を超えて世界につながる
ハッピーでチアフルな空間

「みんな、おはよう」

朝早くからお客さんで後方まで埋まったVIVA! STAGEのフロアに向けて、安部勇磨(Vo&G)が笑顔で挨拶。ビバラには初出場となるnever young beach。バンドへの期待がひしひしと感じられる会場に向けて彼らが見せてくれたのは、開放感と祝祭感に満ちた、とても風通しのいいステージだった。

1曲目は“STORY”。5月8日にリリースされる新作アルバムの表題曲だ。阿南智史(G)の奏でる粒立ちのいいギターフレーズに包容力のあるメロディで、聴いた人を幸福感で包む。

2015年のインディーズ初アルバム『YASHINOKI HOUSE』以来、はっぴいえんどの遺伝子を今の時代に受け継ぐバンドとしてその音楽性に高い評価が集まっていた彼ら。それに加えて、2017年のメジャーデビュー作『A GOOD TIME』を経た今の彼らには、ロックバンドとしての逞しさ、ポップスとしての懐の広さが備わっている。鈴木健人(Dr)のシュアなビート、巽啓伍(B)のセクシーなベースラインもチアフルだ。続いて披露した“どうでもいいけど”の<なんだか気持ちいいな>という歌詞のフレーズ、そのままの感触が伝わってくる。

音源よりもぐっと熱のこもった安部の歌声も印象的だ。“fam fam”では<あいつは最高だって>という歌詞を<VIVA LA ROCKは最高だって>と歌詞を変えて歌い、大きな歓声を集める。続けて披露したニューアルバム『STORY』収録の“いつも雨”も素晴らしかった。くるりの名曲“ばらの花”を彷彿とさせるような、淡々としたビートに乗せて情感が胸いっぱいにこみ上げてくるバンドの新境地だ。

MCでは「阿南智史くん、誕生日おめでとう」と特効の花火と共に盛大に祝い、“明るい未来”から“お別れの歌”でステージを締めくくった。お客さんも、思い思いに身体を揺らしながら楽しんでいた。

とてもハッピーでチアフルな空間だった。そして、ビバラでの彼らのステージが時と場所を超えて細野晴臣やVampire Weekendとも共振しているようにも感じてしまった。彼らの存在が日本のロックシーンに吹いている新しい風の象徴のように思える、そんなステージだった。

テキスト=柴 那典

セットリスト

1. STORY
2. どうでもいいけど
3. あまり行かない喫茶店で
4. fam fam
5. いつも雨
6. 明るい未来
7. お別れの歌

撮影=古溪一道

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