VIVA LA ROCK 2019

5.3 FRI 12:55-13:35 VIVA! STAGE
Nulbarich

日本武道館公演を経て手に入れたスケール感
祝祭空間を作り出した圧巻のステージ

昨年に引き続き、2年連続でVIVA! STAGEに登場したNulbarich。昨年11月には「The Party is Over」と銘打たれた節目となる日本武道館でのワンマンを成功させ、デビューからの急激な上昇曲線もひとまずの終着点……と思いきや、今年2月に新作『Blank Envelope』を発表し、そのリリースツアーを終えたばかり(追加公演を除く)。つまり、バンドは相当に仕上がった状態だということだ。

上手からキーボード、ギター、ドラム、ギター、ベースという順でメンバーが立ち位置に並び、中心に陣取るJQが「Nulbarichです、よろしくお願いします」と一言挨拶をすると、小気味のいいジャムからシームレスに“It’s Who We Are”へと傾れ込み、早速軽快なグルーヴを紡いで行く。曲中には各メンバーが熱量もスキルも高いソロを披露し、その間を泳ぐようにフラフラと歩きながら歌い上げるJQの姿からは、このステージをエンジョイしていることが明確に伝わってくる。

さらに畳み掛けるトロピカルな“Kiss You Back”のスケール感は、初期のNulbarichにはなかったもの。4つ打ちからブレイクを挟んでロックなキメを挟み、再びコーラスで大きく広げる展開の気持ちよさと言ったらない。そもそもは楽曲力の高さで一気に知名度を高めたバンドであり、はじめから演奏力はあったものの、パフォーマンスに関しては試行錯誤してきた部分もあったはず。しかし、日本武道館という伝統ある会場をモノにし、さらなるツアーを重ねたことによって、現在のNulbarichはライヴバンドとしても間違いなく一級品だ。

「ハッピーな曲を」という紹介から始まったのは“Sweet and Sour”。ゆったりとしたリズムに乗って、JQが美しいファルセットでメロウに歌い上げると、オーディエンスは手を揺らして応え、フロアに爽やかな風が流れ込んだかのよう。「恥ずかしいけど……令和!」と両手を掲げて突入した“Zero Gravity”では、ディスコファンクな曲調に合わせて「一緒に踊りましょう!」と呼びかけ、いよいよグルーヴマスターの本領発揮。しかし、続く“VOICE”で<止まらないようにマイペース/好きなstepでchase>と歌われているように、「踊らせる」というわけではなく、Nulbarichのライヴの主役はあくまでこの場に居合わせている一人ひとり。その感覚こそが、この自由な雰囲気を作り上げている。

ハウシーなダンストラック“Super Sonic”では、JQがメンバーに「もっとセクシーに」と語りかけ、そのグルーヴはさらに艶やかに。ラストの“Stop Us Dreaming”では「よかったらみなさんで」と、シンガロングや手拍子を求め、再び圧倒的なスケール感の祝祭空間を生み出した。曲中には火花も上がり、1年前とは明らかに異なる景色。この高揚感、これが今のNulbarichだ。なお、彼らは12月にここさいたまスーパーアリーナでワンマンライヴを行うことも決定している。

テキスト=金子厚武

セットリスト

1. It’s Who We Are
2. Kiss You Back
3. Sweet and Sour
4. Zero Gravity
5. VOICE
6. Super Sonic
7. Stop Us Dreaming

撮影=古溪一道

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