VIVA LA ROCK 2019

5.4 SAT 15:50-16:25 CAVE STAGE
OGRE YOU ASSHOLE

「サイケデリック」の真打ちが登場
バンドによって生み出される革新的な音像の凄み

OGRE YOU ASSHOLEがVIVA LA ROCKに初登場。いわゆる「国内ロックフェスのシーン」のようなものとはあまり縁がないイメージもあるが、いやむしろ彼らのような独自の哲学を持って音を鳴らしているバンドこそ、フェスのような場所で多くの人に発見されてほしい。今年のCAVE STAGEはここまでサイケデリックなバンドが多かったので、真打ち登場という印象もある。

一曲目はオウガらしいゆったりとしたリズムの反復を基調に、馬渕啓のキーボードによるフレーズがアクセントとなる“さわれないのに”。曲中では出戸学のヴォーカルがダブ処理され、ディレイが揺らぎを作り出し、サイケな空間が生まれる。続く新曲はカウベルとかなりファットなベース、さらにはバンジョーのような音色が鳴らされ、途中から4つ打ちが加わる長尺の人力ミニマルテクノ。序盤はウェットなコード感でメロウなメロディが歌われるが、中盤からはLAのビートシーンあたりともリンクするかなり立体的な音像に変わっていき、これが体験としてかなり新鮮。話題を呼んだ日比谷野音での立体音響ライヴを経た、バンドの新たなモードを提示していた。

“フラッグ”はオリジナルよりもかなりBPMを落としたお馴染みのアレンジで始まり、ジワジワと、じっくりと演奏を進めていくと、途中から突如軽快なベースリフと4つ打ちへ移行。タイム感の異なる2本のディレイギターがトランシーな空間を作り上げて行く中、徐々にギターの音量が上がると、今度はキック、ベースと徐々に音が減っていき、緊張感のあるロングブレイクを挟んで、再び楽器が一斉にイン。ここからオリジナルのギターフレーズと歌が戻ってきて、4人でキメを繰り出すという展開が抜群にかっこいい。

ラストは再びミニマルなベースリフが引っ張る“見えないルール”。細かく刻まれるワウを効かせたカッティングと控えめなチョーキングがファンキーなグルーヴを紡ぎ、各プレイヤーの細かなフレーズの変化がヒプノティックな快感を誘う。いやあ、踊れる。すでにキャリアのあるバンドなので、「ここから上がって行く」というストーリーを望むわけではないが、次はメインステージのだだっ広いフロアで、彼らの音を存分に浴びてみたい。

テキスト=金子厚武

セットリスト

1. さわれないのに
2. 新曲
3. フラッグ
4. 見えないルール

撮影=小見山 峻

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