VIVA LA ROCK 2019

5.5 SUN 15:55-16:30 GARDEN STAGE
パノラマパナマタウン

豪快な楽曲に隠された緻密なサウンド構築
ガーデンだからこそ味わえたパノパナの本質

5月18日に恵比寿リキッドルームでのワンマンツアーファイナルを控えているパノラマパナマタウン。ビバラ出演は4回目だが、もう慣れた場所と余裕しゃくしゃくでプレイするわけにはいかない。何故ならばこれをきっかけに新規客をリキッドへ呼び込むことが可能だからだ。リハから“世界最後にある歌は”を本番さながらのテンションでぶちかます。そして、岩渕想太(Vo&G)の「観なかったら後悔するので最後までよろしくお願いします!」というひと言でフィールドへ向けて先制攻撃。

パノラマパナマタウンと観客の35分1本勝負は“Top of the Head”で幕を開けた。岩渕の気合はライヴ開始数分でフィールドに降りて観客を煽るという行動にさっそく表れた。彼らの楽曲は、ヒップホップのフィーリングを取り入れたり、コロコロとテンポチェンジをしながらも、時にサビでは歌謡曲のテイストを感じさせるストレートな旋律を歌い上げるという独特なスタイル。関西のバンドらしいごった煮感で飽きさせない。ツアー同様、“$UJI”へとつなぐ展開は今の彼らが得意とするものだろう。

MC明けの“SHINKAICHI”は4つ打ちのミドルチューン。派手に動くベースラインがグルーヴィーにバンドをもり立て、観客の頭を揺らせる。“Gaffe”では一転、浪越康平(G)がつま弾く印象的なギターリフに導かれ、岩渕がライムを吐き捨てる泥臭いミクスチャーロック。勢い余って再びフィールドに降りた岩渕を取り囲むように観客が手を掲げる。いい光景だ。

「ここにいる一人ひとりに音を届けに来た」という岩淵は、この35分間で伝えきれないものを5月18日に見せるからぜひツアーファイナルに来て欲しいと訴えた。終盤はヒップホップマナーに則ったコールアンドレスポンスから、“マジカルケミカル”へ。ここでも浪越の正確なギタープレイが輝きを放つ。音量制限がある環境は、彼らのようにラウドに鳴らすべきバンドにとって不利なはずだが、実はそうでもない。各楽器の粒立ちがいいので全ての音が明確に聴き取れ、どの音がどう機能しているかはっきりわかる。そうやって構築されたアンサンブルが直接ダンス中枢を刺激するのだ。先ほど、「ごった煮」とは書いたが、その実、巧みに整理整頓されているし、観客もそれを肌で感じているのか、ノリの大きさが増している。

そういう観点で最後の“めちゃめちゃ生きてる”を聴くとめちゃめちゃ楽しい。3曲分ぐらいのネタを詰め込んだような楽曲だし、岩渕はまたしてもフィールドに降りていくし、もうなんだかカオスなんだけど、演奏は決して破綻しない。終わってみれば、自分達にできることをしっかりと詰め込めた35分だったのではないだろうか。

さあ、このライヴを観た人が2週間後にやることはたったひとつ。リキッドルームへ足を運ぼう。

テキスト=阿刀“DA”大志

セットリスト

1. Top of the Head
2. $UJI
3. SHINKAICHI
4. Gaffe
5. マジカルケミカル
6. フカンショウ
7. めちゃめちゃ生きてる

撮影=小杉 歩

FLASH REPORT TOP