VIVA LA ROCK 2019

5.4 SAT 16:35-17:15 VIVA! STAGE
PUNPEE

市境だけでなくジャンルをも飛び越えたレペゼン板橋
VIVA!に特濃ヒップホップの架け橋を渡す

戸田市を挟んだ向こう側は東京・板橋区。2010年代を代表するラッパー/トラックメイカーPUNPEEはそこからビバラへ初めてやってきた。しかも、いきなりVIVA!のトリ前である。彼が2017年に発表した1stアルバム『MODERN TIMES』が日本の音楽シーンに与えたインパクトがいかに大きかったかを物語っていると言える。実際、今日のライブで“タイムマシーンにのって”がタイトルコールされたときの歓声はすごかった。

リハの段階からDJ原島宙芳とDJ ZAI がM.O.P.“Ante Up”などをスピンし、直前にSTARでVIVA LA J-ROCK ANTHEMSが作り上げたロックなムードを一気に黒いグルーヴへと塗り替えていく。今日はDEV LARGEの命日ということで、BUDDHA BRAND“人間発電所”が鳴らされた瞬間はグワッと体温が上がった。まだ本番じゃないのに。

定刻にステージに現れたのは2人のDJ陣。続いて、PUNPEEが登場。ジャージーなトラックと荒々しいスクラッチに乗せたPUNPEEのラップ。オールドスクールな空気をムワッと場内に充満させたあと.“P.U.N.P”のイントロを鳴らすと大きな歓声が上がり、あちこちで手が前後に揺れた。初のビバラ、しかもVIVA! STAGEというデカ箱だが、PUNPEEは全く気負っていないし、あくまでも自然体。立ち居振る舞いも堂々たるものだ。

PUNPEEが中学生の頃によく聴いていたというDragon Ash“静かな日々の階段を”のトラックを使い、フリースタイルで自己紹介したあと、間髪入れずにSTUTSとの共作曲“夜を使いはたして”へとテンポよくつないでいく。

過去、邦楽系大型ロックフェスの大きなステージにおいて、ゴリゴリのヒップホップアクトがいい結果を残している印象は薄い。しかし、PUNPEEは違った。フロアにいる観客一人ひとりにしっかり目をやりながら丁寧にリリックを紡ぐ。かといって、媚びているわけではない。あくまでも自分のフィールドで戦うのである。純度100%ヒップホップのファンな雰囲気がジワジワとVIVA!を満たしていく。

フロアがどよめいた田島貴男の登場もそうだ。もっとキャッチーな雰囲気になるかと思った観客もいたかもしれないが、結果は真反対。ドス黒いビートに田島のソウルフルなボーカルとギターが乗った“グッディ・ガールfeat.田島貴男”で、VIVA!のヒップホップ濃度はさらに高まっていく。PUNPEEもなんだか1人のときよりも楽しそう。

田島はそのままステージに留まり、Sly & The Family Stoneの名曲をサンプリングしたトラックでPUNPEEがフリースタイルをかましたりしつつ、“お嫁においで”までメドレーでつなぐ。田島が歌う“お嫁においで”のサビはシビレた!

先人が試行錯誤してジャンルの壁を越えよう、ヒップホップの魅力を幅広く伝えようと努力してきた。今日同じくVIVA!に立ったSKY-HIもシーンの発展のために尽力してきた。そんなこの何十年にわたる激闘の結果のひとつがこのステージだと思うと、よりグッとくるものがある。ラストの“Renaissance”でフロアへ飛び出し、大いに盛り上がる観客にまみれながらラップをするPUNPEEの姿が、その光景が、とても美しかった。

テキスト=阿刀“DA”大志

セットリスト

1. Intro
2. P.U.N.P
3. Happy Meal
4. Kids in the Park
5. フリースタイル
6. 夜を使いはたして
7. Scenario
8. グッディ・ガール feat. 田島貴男
9. Sing Simple Song~Super Station~お嫁においで
10. タイムマシーンにのって
11. Renaissance

撮影=古溪一道

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