VIVA LA ROCK 2019

5.6 MON 13:30-14:05 CAVE STAGE
リーガルリリー

轟音の渦のなかで
きらめいていた詩情

たかはしほのか(Vo&G)、海(B)、ゆきやま(Dr)が向かい合い、眩しい光のなかで最初の一音を鳴らした瞬間、CAVE STAGEの空気がガラリと変わった。

VIVA LA ROCKには2017年の前夜祭への出演以来の登場となるガールズスリーピースバンド、リーガルリリー。現役高校生バンドとして注目を浴びた数年前にはみずみずしさの一方で幼さや初々しさを感じさせるようなところもあったが、『the Post』『the Radio』『the Telephone』というミニアルバム3部作を経て2018年に現体制となり、今年にはアメリカで「SXSW」への出演も果たした今のバンドが見せたのは、そこから着実に成長を遂げてきた姿。グランジやシューゲイザーにルーツを持つ音楽性と、「個」から生まれるリリシズムに磨きをかけてきたバンドの真骨頂を見せるステージだった。

1曲目は口笛から始まった雄大なギターサウンドの“こんにちは。” 轟音の渦が生まれ、その中でたかはしの透明感ある歌声が力強く響く。続く“ぶらんこ”でも、サウンドの軸になっているのは、たかはしのファズギターだ。ディレイやリヴァーブで広がったノイズの波がオーディエンスを包み、海とゆきやまのコーラスも曲に色を添える。童謡のようなシンプルなメロディに乗せてロマンティックな情景を描く“スターノイズ”、「VIVA LA ROCKに出れて、とても嬉しいです」とたかはしが語って披露した “the tokyo tower”と、音楽の中に没入していくようなステージを見せる。“リッケンバッカー”ではオーディエンスから沢山の手が挙がる。

ラストは囁き声のような歌から始まったスローテンポの“蛍狩り”。リーガルリリーはオーディエンスとダイレクトなコミュニケーションをとるようなタイプのバンドではない。しかし、ポエトリー・リーディングのように言葉を連ねるこの曲で最後に繰り返した<輝きを放て>というフレーズは、集まった一人ひとりの胸に染みわたっていったはずだ。ステージを降りた3人には、大きな拍手が送られていた。

テキスト=柴 那典

セットリスト

1. こんにちは。
2. ぶらんこ
3. スターノイズ
4. the tokyo tower
5. リッケンバッカー
6. 蛍狩り

撮影=小見山 峻

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