VIVA LA ROCK 2019

5.3 FRI 15:55-16:30 GARDEN STAGE
崎山蒼志

底知れない大器の、鮮烈な登場

注目の才能の、ビバラ初登場だ。

「静岡県浜松市から来ました崎山蒼志と言います、よろしくお願いします」

サディスティック・ミカ・バンドの“よろしくどうぞ”をSEにステージに登場し、まずはごく普通の挨拶。ギターを抱え、メガネに白いシャツというシンプルな衣装。とても素朴な佇まい。でも、そこから披露した“夏至”の最初の数秒間で、崎山蒼志は昼下がりのGARDEN STAGEのムードをがらりと塗り替えてしまった。

昨年5月にAbemaTVの番組『日村がゆく』をきっかけに世に「発見」され、SNSを中心に大きな反響を巻き起こしてきた彼。現役高校生シンガーソングライターという話題性もさることながら、何より圧巻なのは突き抜けたそのセンスとテクニックだろう。切れ味の鋭いギターカッティング、洒脱なコード感、そして声を震わせ独特の詩情を伝える歌の表現力。弾き語りというスタイルながら、すでに唯一無二の個性を確立している。

息を呑むように見つめるステージ前のオーディエンスや遠巻きに眺めるフリーエリアのお客さんたちの視線に包まれ、“旅の中で”“ソフト”と続けて歌う。

「今日は見てくれてありがとうございます。出られると思ってなかったんで、とても嬉しいです」と初々しいMCに続けて、“泡みたく輝いて”を披露。“烈走”のかきむしるようなギタープレイには大きな歓声があがる。8分の6拍子から16ビートのシャッフルへと自在にリズムが切り替わり緩急を感じさせる“国”では、唸り声に近いようなヴォーカリゼーションで歌心を伝えてくる。

集まった人たちに「ありがとうございます。みなさん、優しいです」と感謝を告げ、最後に彼の名を一躍知らしめた“五月雨”をプレイした崎山。朴訥な語り口と圧倒的なミュージシャンシップのギャップも、その大きな魅力だ。今まさに目覚ましい成長を遂げている最中の彼。この先もまだまだ化けていくだろう。底知れない大器の、鮮烈な未来を予感させる数十分だった。

テキスト=柴 那典

セットリスト

1. 夏至
2. 旅の中で
3. ソフト
4. 泡みたく輝いて
5. 烈走
6. 国
7. 五月雨

撮影=小杉 歩

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