VIVA LA ROCK 2019

5.6 MON 12:20-12:55 CAVE STAGE
SHADOWS

洞穴に轟く爆音と混沌のなかに連帯が生まれた
SHADOWSの素晴らしきビバラデビュー戦

SHADOWSのような泥臭いメロディックハードコア/パンクバンドがビバラに出演してくれたのはとてもうれしい。しかも、ビバラで最もライヴハウスらしいエリアと言えるCAVE STAGEだ。リハの時点ですでに、フェスのお祭りモードをギュッと引き締めるような緊張感が漂っている。うん、やっぱりこの空気感、完全にライブハウス。フロアにはSHADOWSのTシャツを身につけた観客が多く見られ、こちらも気合い十分。キッズエリアにも将来有望な子供たちが集まり、彼らの出番を待ち構えている。

超満員のCAVEと対峙し、彼らは“All I Want”“Senses”といった曲を次々とフロアに投げつけていく。ケツを震わすほどヘヴィなリズム隊に、ザクザクに刻むツインギター、そしてクリーンとシャウトを荒々しく使い分けるヴォーカル。極上のヘヴィミュージックだ。しかし、SHADOWSは重さばかりを追求するバンドではない。“Into The Line”などで聴かせるHiro(Vo)が歌い上げるメロディはリヴァーブ気味の声と相まって非常にキャッチー。“Chain Reaction”では盛大なシンガロングが起こった。

MCでHiroは「人と人がつながって、この場所ともつながれてうれしい」という素直な感謝を述べ、CAVEだけでなくビバラという「クソでっけぇハコ」で最高の一日を作ろうと呼び掛けた。

“Freedom Is Yours”では、最前列の柵の上に立って歌うHiroをめがけて次々とクラウドサーフの波が押し寄せ、彼はその一人ひとりに向かってマイクを差し出し、楽曲を共有していく。さらにフロアはサークルピットを作るように要求されたが、これだけパンパンの状態ではそんなすき間はない。曲中、Hiroは「今日の一等賞になりたいわけよっ!」と短く叫んだ。きっとそこには「あくまでも自分たちのスタイルで」という思いもあっただろう。

ぐっとテンポを落とした“Progress”や“My Direction”で、Hiroは積極的に観客に手を上げさせる。そして、またしてもフロアに突入し、できるだけ多くの観客に歌わせようとする。一見するとカオスな現場に思えるが、彼らはそんな混沌だけを望んでいるわけではない。少なくともこの場で彼らが目指していたのは「ユニティ」ではなかろうか。「手を上げてください」「手を振ってください」「一緒に歌いましょう」ロックに限らず、あちこちの音楽の現場で聞かれるフレーズだが、彼らは場を盛り上げるための安易な文句としてこれらを使ったわけではない。この場の空気を、バンドの思いを、この短い時間でできるだけ多くの人と共有しようとしていたのだ。歌詞の内容がわからなくても、言葉を尽くして説明されなくても、一生懸命彼らのパフォーマンスに意識を向けていればなんとなく伝わるものである。35分の爆音の末に残ったのは、心地のよい耳鳴りと、明日への活力を生むパンクのぬくもりだった。

テキスト=阿刀“DA”大志

セットリスト

1. All I Want
2. Senses
3. Overcome
4. Into The Line
5. Chain Reaction
6. Freedom Is Yours
7. Fail
8. The Lost Song
9. Progress
10. My Direction
11. BEK

撮影=小杉 歩

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