VIVA LA ROCK 2019

5.4 SAT 17:30-18:20 STAR STAGE
Suchmos

HSUがステージに復帰!
スタジアムモードのフロアをグルーヴの海に変える

正直、今日はSuchmosが見られないかもしれないと思っていた。ジャンルレスな2020年代の顔役が揃う今年のビバラ2日目に、Suchmosは絶対に外せない存在だ。しかし、HSUの体調不良により、4/20の新潟、4/29の福岡という直近の2本のライブをキャンセル。彼らがライブに対して、オーディエンスに対して、常に誠実であろうとしていることは少なからず理解しているつもりなので、キャンセルの決断が慎重であったように、ライブ再開の決断もまた慎重であろうことは容易に想像できた。しかし、前々日に彼らはビバラへの出演をアナウンス。2年ぶりとなるSTAR STAGEは、フェスにとっても、彼らにとっても大きな意味を持つステージとなった。

大歓声に迎えられてメンバーが姿を現すと、徐々に波の音が。OKがゆったりとリズムを刻み、徐々にメンバーが音を重ねて行くと、「ビバラ、揺れよう!」とYONCEが最初のシャウトを決め、“Pacific Blues”が始まる。この曲は初期からの重要曲である“Pacific”の長尺ジャムバージョンであり、まさに波の上をたゆたうかのようにYONCEのボーカルがバンドの演奏の中を泳いでいく。中盤では雄大なストリングスのブレイクを挟み、TAIKINGのブルージーなギターソロへ。6人の呼吸を改めて噛み締めるかのように、全体の演奏がジワジワと熱を帯びて行き、背景には海に浮かぶ夕日が映し出されると、TAIKINGとHSUがステージ中央で向かい合って激しくプレイする、いきなりの名場面が訪れる。それを見届けたYONCEが両手を上げ、船は港へと帰着した。

「ビバラ、揺れよう。Suchmosです、よろしく」と改めての挨拶をすると、続いて演奏されたのは“BODY”。この曲がベースから始まったように、やはりHSUはこのバンドのグルーヴの中心であり、彼の重心の低いプレイがアンサンブルを下支えして、YONCEは高らかにファルセットで歌い上げることができるのだ。シンプルに刻まれるビートを軸にファンキーに展開される前半から一転、後半でサイケデリックに爆発する“ROLL CALL”を終えると、「ビバラひさしぶり。4日間がっつり楽しんでってください。俺らのステージはゆっくり見てってよ」と語りかけ、「乗り方は自由!」とシャウトを決めて“MINT”へ。途中で<何も無くても このステージに立てればいい>と歌詞を変えて歌い、コーラス部分ではオーディエンスの大合唱が巻き起こった。

TAIKINGのチョーキングを号令に始まるのは“VOLT-AGE”! フットボールのチャントを連想させ、一体感を生むこの曲は、スタジアムモードのさいたまスーパーアリーナがよく似合う。中盤でのブレイクを挟み、コードが変わって以降の高揚感はたまらないものがあり、TAIKINGとTAIHEIはそれぞれエモーショナルにソロを弾きまくる。アウトロから間髪入れずにKCEEのスクラッチが飛び込むと、初期のアシッドジャズなイメージを決定づけた“YMM”へ。途中のHSUをフィーチャーするパートはいつもより長めだったかもしれない。後半では再びTAIKINGが長尺のソロを披露し、TAIHEIとのユニゾンを聴かせたりと、演奏することの喜びがビンビンに伝わってくる。

大歓声にHSUが「ありがとう」と応えると、YONCEの「ただいま」にはさらなる大歓声が。「こうやってステージに立てることはやっぱり特別なことだと思う。これからもよろしく。バイビー、ビバラロック」と言って最後に演奏されたのは、Suchmosのニューモードを象徴する一曲である“WATER”。サイケ期のThe Beatlesか、はたまたPink Floydかといった感じの長尺のサイケ~プログレナンバーであり、それぞれが自らのプレイに集中し、それと同時に周りの音を楽しみ、YONCEはこの時間を慈しむかのようにソウルフルに歌い上げる。演奏を終えると、メンバーはステージ上で抱き合い、笑みを浮かべながらステージを後にした。

テキスト=金子厚武

セットリスト

1. Pacific Blues
2. BODY
3. ROLL CALL
4. MINT
5. VOLT-AGE
6. YMM
7. WATER

撮影=釘野孝宏

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