VIVA LA ROCK 2019

5.3 FRI 10:00-10:35 CAVE STAGE
Tempalay

サイケデリックなCAVE STAGEの幕開け
三者三様な「個性の集合体」を印象づけた初のビバラ

今年のCAVE STAGEの幕開けを飾るのは、日本のサイケデリックポップを継承し、世界の潮流ともシンクロしながら今を更新するTempalay。TENDREやRyohuのサポートを務め、今年に入ってからは踊Foot WorksやKANDYTOWNのKEIJUの作品に招かれるなど、引っ張りだこの才媛AAAMYYYが昨年正式メンバーとして加入し、充実した状態でのVIVA LA ROCK初出演となる。

ブルージーなイントロダクションから一瞬の轟音を経て始まったのは、シタールの音色が印象的なソフトサイケ“素晴らしき世界”。昨年発表された『なんて素晴らしき世界』は地球の終末を描いたSF的な世界観だったこともあり、隠れアジト的なCAVE STAGEがよく似合う。小原綾斗の絶叫も含め、何とも不穏な雰囲気ではあるが、AAAMYYYのコーラスを交えて歌われるメロディはあくまでもキャッチーなのが彼らの持ち味。サポートを務めるAun beatzのKenshiroによるベースリフから始まった“新世代”には歓声が起こり、藤本夏樹の叩き出す軽快なビートに乗せてフロアも小刻みに揺れている。

ジャック・ホワイトばりのヘヴィーなギターが唸る“SONIC WAVE”は、途中でスクラッチを挟み、軽快なヒップホップビートに移行したかと思えば、今度は突如合唱が始まったりと多彩な展開で魅せ、808を用いた“テレパシー”では中盤のノイズパートでAAAMYYYがラップとコール&レスポンスを披露し、オーディエンスを盛り上げていく。まさに三者三様、ユニット的な個性の集合体としての現在のTempalayがよく伝わってくる。

「おはようございます。トップバッターなんで、ラジオ体操みたいなもん?」「一番朝の似合わないバンドだけど」とラフな会話を交わし、「短い時間ですが、楽しんで帰ってください」と言って始まったのは“どうしよう”。音数を絞ったミニマルなアンサンブルとソウルマナーのグッドメロディによるこの曲が、昨年BTS(防弾少年団)のSNSでピックアップされてバズったのは記憶に新しいが、このグルーヴ感をより大きなステージで鳴らす可能性を秘めているのが、Tempalayというバンドなのである。

現代ジャズのよれたビートとアンセミックなコーラスを併せ持った“Last Dance”から、メンバー紹介を挟み、「また来年、2020年のVIVA LA ROCKでお会いしましょう」と語りかけ、最後に披露されたのは“革命前夜”。心地いいグルーヴと再びの轟音ギターのつづれ織りを経て、2019年のCAVE STAGEがサイケデリックにスタートした。

テキスト=金子厚武

セットリスト

1. 素晴らしき世界
2. 新世代
3. SONIC WAVE
4. テレパシー
5. どうしよう
6. Last Dance
7. 革命前夜

撮影=小見山峻

FLASH REPORT TOP