- 5.4 SAT 14:40-15:15 CAVE STAGE
- TENDRE

CAVE STAGEの天井をぶち破った
TENDREのメロウで熱いグルーヴ
ampelのベース・ヴォーカルとしても活動するシンガー・ソング・ライター、プロデューサーの河原太朗(Vo&Key)のソロ・プロジェクトであるTENDRE。バンドメンバーにAAAMYYY(Cho&Key)、無礼メンの高木祥太(B)、CRCK/LCKSの小西遼(Sax&Key)、LUCKY TAPESの松浦大樹(Dr)の超絶技巧集団を引き連れ、CAVE STAGEに現れた。
序盤は“DRAMA”、‟DISCOVERY”をプレイし、有機的なうねりのあるグルーヴを作っていく。バンドのメンバーが自由自在にセッションのように楽しみながら演奏できるのは、河原の作る楽曲の懐が広いからだろう。メロウでかつ青白く燃える炎のように情熱的で、知的なのにもかかわらずどこか動物的な――そんなTENDREのソウルフルなバンド・アンサンブルは否応なくオーディエンスの体を突き動かす。
深呼吸してから始まった“SIGN”は、70年代~80年代のニューミュージックへの目配せも感じるシティ感に満ちた1曲。ダブル、トリプル・キーボードというのはThe Rootsなどのブラック・ミュージックのセッション・バンドによくある編成だが、多彩だがシンプルな音色を用いながら生でファンキーなサウンドのレイヤーを作っていく、この構造がTENDREのライヴの面白さになっている気がする。
MCでは、バンドメンバーを紹介しつつ「CAVE STAGE、名前通り、洞窟みたいだから、天井をぶち抜いていきたいですね。そういう勢いでやります。と、言いつつ、次、めちゃくちゃソフトな曲なんですけどね」と、内に潜ませたロック・スピリットを匂わせる発言をする河原。“DOCUMENT”を演奏し始める。エレクトリック・ピアノでメロウなコードを弾きながら旧知の仲でもあるSuchmosの‟STAY TUNE”の一節を披露。「隼太(HSUの本名)、おかえり」と、体調を崩していたHSUの帰還を喜んだ。
“hanashi”の冒頭ではマイケル・ジャクソンよろしく河原が口でビートを紡いでいく。松浦に呼びかけ、そのビートをまかせつつ、曲へと突入していった。アップ・ライト・ピアノの音色が実にきらびやかな、TENDREが河原のソロだということがよくわかる歌の強さが前面に出ているパフォーマンスだった。
「じゃ、最後に天井をぶち抜いて帰ります。TENDREって名前の通り、優しいと思われてるかもしれないですけど。今日は本気ですからね」と、VIVA LA ROCKにかける熱い想いを宣言し、プレイしたのは“RIDE”。サンプリングを同期させながら、デジタルなビートに乗せてバンドが本当に天井を打ち破るようなサウンドでCAVE STAGEをかき回していく。
初出場ながらも、VIVA LA ROCKをしっかりと自分たちのグルーヴに巻き込み、圧倒的な印象を残していったTENDRE。次はどんな姿でVIVA LA ROCKで見せてくれるのか、そんな未来が楽しみになった。
テキスト=小田部 仁
セットリスト
1. DRAMA
2. DISCOVERY
3. SIGN
4. DOCUMENT
5. hanashi
6. RIDE
撮影=小見山 峻