- 5.3 FRI 15:40-16:20 STAR STAGE
- THE ORAL CIGARETTES
STARもVIVA!も完全掌握。
オーラルのスタジアムロックショーに激震走る。
オーラルのライヴ恒例「4本打ち」のあと、ケツを震わすようなノイズのSEとともにメンバーが登場。そして、その音が耳をつんざくほどのボリュームになったとき、「さあビバラ、遊ぼうぜ」という山中拓也（Vo&G）の合図で“嫌い”をフロアに叩き込む。そして、真っ白な照明と、真っ白に光るステージ後方のスクリーンだけが4人の影をミステリアスに浮かび上がらせた。そう、それ以外にバンドを照らすものは何もない。フェスの照明演出としてはかなり異色だ。不穏な歌詞の世界観とともに冒頭から独特な空気を生み出した。そうかと思えば、続く“起死回生STORY”では、激しく明滅する照明とステージを取り囲む電飾がド派手にパフォーマンスを彩る。もちろん、派手ならばいいというわけではない。新しく生まれ変わったSTAR STAGEの魅力を存分に引き出し、自分たちのものにしていくオーラルの貪欲な姿勢が素晴らしいんだ。楽曲ごとに作り込まれた映像もステージに華を添え、今年から同じ空間に位置するVIVA! STAGE待ちの観客をも巻き込み、「THE ORAL CIGARETTESワンマンライヴ＠たまアリ」な空気を序盤の3曲でばっちり作り上げた。これは数々の大舞台を経験してきた彼らだからこそなし得たことだ。落ち着き払ったメンバーの姿が頼もしい。
山中の視線はびっちびちに人で埋まったフロアの奥にまで向けられていて、観客の様子を見た上で自分がどう動くかまで計算しているかのような冷静さと余裕がうかがえる。演奏陣も文句のつけようのない。“狂乱 Hey Kids!!”の間奏では、鈴木重伸（G）がテクニカルなギターソロを涼しげにキメ、あきらかにあきら（B&Cho）も体を震わすほどブリブリなフレージングでボトムを動き回り、中西雅哉（Dr）は的確でダイナミックなドラミングでド派手なオーラルサウンドを支える。
なんだ、これ。完璧なスタジアムロックじゃん。わざわざ「かかってこい！」なんて言わなくても、みんな勝手にかかっていってる。山中が振るタクトによって、STAR（とVIVA!）の観客が見事に操られている。これはもう、山中のことは「ヴォーカリスト」なんて呼べない。表現者、アーティスト……もうなんでもいいや。とりあえず、この男、すげぇ。
ワンマンを観ているような気分だったから、“PSYCHOPATH”が終わってメンバーがステージを去ったときのあっけなさったらなかった。多かれ少なかれみんな似たような気分だったのか、なんとも言えぬ静かなどよめきと昂揚が場内を満たした。
テキスト＝阿刀 “DA” 大志
セットリスト
1. 嫌い
2. 起死回生STORY
3. 5150
4. ワガママで誤魔化さないで
5. 容姿端麗な嘘
6. 狂乱 Hey Kids!!
7. BLACK MEMORY
8. PSYCHOPATH
撮影＝釘野孝宏
