VIVA LA ROCK 2019

5.6 MON 18:30-19:15 VIVA! STAGE
打首獄門同好会

掟破りのバンドが、
アリーナクラスのエンタメに化けた

VIVA! STAGEのヘッドライナーをつとめるのは「生活密着型ラウドロックバンド」打首獄門同好会だ。これで3年連続出演。一昨年にCAVE STAGEに登場した際には「異物感」たっぷりの盛り上がりを作り上げていた彼らだが、そこから2年で、バンドを巡る状況はがらりと変わった。昨年に実現した日本武道館でのワンマンライヴを経て、結成15周年を迎えた今年3月には新作ミニアルバム『そろそろ中堅』をリリース。各地のフェスだけでなく、バラエティ番組にも出演、企業コラボも実現、海外でもMVがバズるなど、いろんなところから引っ張りだこの存在になった。

こうして誰もが認める人気者としてステージに立った彼らが見せたのは、存在感の大きさはぐっと増し、でもその本質は1mmもブレてない、破格の楽しさに満ちたパフォーマンスだった。

“デリシャスティック”ではサウンドチェック時にフロア前方のお客さんに配られた「うまい棒」が宙を舞い、「オッケービバラ遊ぼうぜ」と歌詞を変えた“こどものねごと”に続いて“島国DNA”ではホンマグロのバルーンがオーディエンスの上を飛び跳ねる。お馴染みのギミックも満載だ。そして、それを支える大澤敦史(G&Vo)、河本あす香(Dr&Vo)、junko(B&Vo)のバンドアンサンブルの強靭さも改めて感じる。

さらには、彼らのライヴに欠かせないVJの映像も、今回はステージ上のスクリーンだけでなくVIVA! STAGEとSTAR STAGEの巨大LEDビジョンに映し出されることで一気にスケールアップ。フロアは後ろまでぎっしりと埋まり、“ニクタベイコウ!”では<肉食べ行こう そうしよう>のコールを全員がシャウト。スタンド最後列のお客さんまで手を振り、巨大な一体感が生まれる。

中盤は「ここで皆様に残念なお知らせがあります」と大澤が告げ、今日でゴールデンウィークが終わること、明日の朝から平日が始まるという現実を語る。そして「明日の朝、全国民が同じことを思うでしょう。そんな歌を聴いてください」と、“はたらきたくない”を披露。さらには“布団の中から出たくない”を続ける。こうした共感せざるを得ないメッセージ性と、それをチャーミングに表現する演出も、彼らの大きな魅力だろう。

“きのこたけのこ戦争”に続いては、サークルモッシュが巻き起こった“歯痛くて”、さらにはB.B.クィーンズの大ヒット曲“おどるポンポコリン”をスカパンクからメタルコアまでごった煮にした彼らならではのラウドロックのスタイルでカヴァー。そしてラストは「2019年、日本の大豊作、お祈りさせていただいてもよろしいでしょうか? それではご唱和ください、日本の米は世界一!」とオーディエンス全員のコール&レスポンスから“日本の米は世界一”。床が揺れるほどの大きな盛り上がりを生み出し、主催者側から贈られた結成15周年を祝うケーキを手に、笑顔でステージを降りた。

音楽性も、曲のテーマも、演出も、メンバーのキャラクターも、あらゆる意味で「掟破り」な存在だった打首獄門同好会。そんな彼らのライヴが、この日、アリーナクラスのエンターテイメントに化けるのを体感した。

テキスト=柴 那典

セットリスト

1. デリシャスティック
2. こどものねごと
3. 島国DNA
4. ニクタベイコウ!
5. Shake it up’n’go 〜シャキッと!コーンのうた〜
6. はたらきたくない
7. 布団の中から出たくない
8. きのこたけのこ戦争
9. 歯痛くて
10. おどるポンポコリン
11. 日本の米は世界一

撮影=古溪一道

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