VIVA LA ROCK 2019

5.5 SUN 17:30-18:15 STAR STAGE
UVERworld

VIVA LA ROCKにまた新たな伝説を
刻みつけた、UVERworldの勇姿

ライヴ前のサウンド・チェックの段階から、もうすでに盛り上がり始めているSTAR STAGEのオーディエンス。そんな空気を察知したのかTAKUYA∞の歌声が聞こえてくる。VIVA LA ROCK 2019、出演するたびに伝説を刻みつけてきたUVERworldは、今年はどんなライヴを見せてくれるのだろうか。期待は否応なく高まっていく。時間になりジングルが鳴り響いた後、スクリーンに映像が流れ、「UVERworld SPECIAL LIVE 2019」という言葉と共にメンバーが登場すると、さいたまスーパーアリーナ全体を揺るがすような大きな歓声が起こった。

「UVERworldをはじめます」——TAKUYA∞のクールな開会宣言と共に始まったのは“Touch off”。今年一発目にリリースしたシングルを1曲目から投入してくるあたり、UVERworldのVIVA LA ROCKに懸ける本気度を感じる。そして、間髪を入れずに“GOOD and EVIL”へ。デジタルなビートが会場を大きく揺らしていく。
「いろんなアーティストが出るフェス。帰るときに心に残るようなライヴをやんなきゃ、フェスに出る意味なんてねぇだろう。できるかできねぇかなんてわかんねぇ。そんなの全部やって確かめりゃいいだろう!」——そう歌詞の一節を引用しつつ始まった“PRAYING RUN”では、スタジアムモードのさいたまスーパーアリーナに響き渡る<全部やって確かめりゃいいだろう>の大合唱に、鳥肌が立つ。EDMにUVERworld流のロックンロールの要素を織り交ぜ極めて絶妙なバランスのダンス・ミュージックに昇華した”ODD FUTURE”では、TAKUYA∞自らも台の上に立ち、ダンスを披露してみせた。

「鹿野さんからの手紙があったけど、字が汚すぎてまったく読めなかった。全然わからなかった。気持ちだけは受け取りました」と、VIVA LA ROCKプロデューサーの鹿野淳に感謝の意を伝えつつも、しっかりといじるTAKUYA∞。初出場の年は「たくや・むげんだい」と名前を読み間違えられたことに文句を言っていたが、今年は字の汚さをディスられる鹿野氏。逆にUVERworldと、このフェスの絆を感じる(?)。

「あれだけフェスからもそっぽを向かれていたUVERworldが、今じゃいろんなフェスから呼んでもらえるようになった。フェスに出られるようなミュージシャンに絶対なりたかった。そんな思いがこんな曲を書かせたんだ!」
<お前は お前がやりたい事を やれ>と、夢を追う人たちを鼓舞する楽曲”ALL ALONE”をSTAR STAGEに集まったオーディエンスたち一人ひとりに向けて届けるように演奏するUVERworld。克哉(G)の奏でるアコースティック・ギターの音が胸を締め付ける。続いては「今一番演奏していて気持ちいい曲」だという”ConneQt”。デジタル・ソウルとでも形容すればいいだろうか。シティなグルーヴがフロアを緩やかに揺らし、TAKUYA∞のボコーダーのかかったスキャットが甘く切なく響き渡る。

「俺たちの裏でマキシマム ザ ホルモンの2号店のライヴやってるけど、俺、オーディション受けて落ちたんだよ。でも、まだ諦めてねぇからさ。勝ってやるぜ! 俺たちが3号店だ!!」というシャウトに導かれて始まったのは、なんとマキシマム ザ ホルモンの大名曲“恋のメガラバ”のカヴァー! デス声もラップもフックも、すべてのヴォーカル・パートを一人で完璧にこなすTAKUYA∞に度肝を抜かれる。もちろん楽器隊も本気の本気、完璧なUVERworld流のアレンジで披露してみせた。しかも曲のラストには、なんと本家本元のマキシマム ザ ホルモンのナヲとダイスケはんが乱入! オーディエンスが沸き立ったのはもちろんだが、一番テンションが上がっていたのはTAKUYA∞だろう。

「ヤベェ! 俺の願いが叶ったよ。こんなスペシャルな日は、最高の日はねぇぜ!」と、完全に一段階上のギアが入った様子のTAKUYA∞。「ここからの数分間、世界の中心は東京じゃなくてここだ。いくぞ、さいたまスーパーアリーナ!」と絶叫し、“IMPACT”をではオーディエンスの中に飛び込み支えられながら熱唱。「この何年間かで一番最高の瞬間を迎えに行こうぜ!」とさらに観客たちを煽りながら、クライマックスへと向かっていく。一切の手加減なし・まさに全身全霊で最後にプレイされた“EDENへ”。「まだまだ今日楽しめるってやつだけでいいよ、手あげてみせてくれ!」というTAKUYA∞の言葉に、誇張でもなんでもなくSTAR STAGEに集まったオーディエンスのほとんどが手をあげていた。

この三日間で何組ものアーティストが「大勢ではなく、今ここにいるあなたに歌いたい」というような趣旨のことを言っていたが、UVERworldの音楽もまた一人ひとりと向き合い鼓舞するものだと思う。ライヴが行われてる最中、近くにいたオーディエンスの様子を伺っていたのだが、涙を流しながらじっと楽曲をかみしめている人もいれば、踊り狂いながらアリーナに飛び込んでいく人もいて、それぞれがそれぞれのやり方でUVERworldの音楽とコミュニケーションしている姿があった。音楽の楽園たるロックフェスが、これほど似合うバンドもいないだろう。今年もやはりUVERworldはVIVA LA ROCKのステージに伝説を刻みつけたのだった。

テキスト=小田部 仁

セットリスト

1. Touch off
2. GOOD and EVIL
3. PRAYING RUN
4. ODD FUTURE
5. ALL ALONE
6. ConneQt
7. 恋のメガラバ(cover ver.)
8. IMPACT
9. EDENへ

撮影=釘野孝宏

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