VIVA LA ROCK 2019

5.4 SAT 15:40-16:20 STAR STAGE
VIVA LA J-ROCK ANTHEMS
【Ba:亀田誠治/Gt:加藤隆志(東京スカパラダイスオーケストラ)/Gt:津野米咲(赤い公園)/Dr:ピエール中野(凛として時雨)】

不滅のロックアンセムを蘇らせる
名物企画の「新たな試み」

日本には、たくさんのロックアンセムがある。それを歌い継ぐことで、新しい格好よさ、新しい楽しさが生まれる。

今年で5回目となったビバラの名物企画「VIVA LA J-ROCK ANTHEMS」は、そんなことを感じさせてくれるステージだった。亀田誠治率いる凄腕ミュージシャンたちと豪華なゲストヴォーカリストが日本のロックアンセムの数々を蘇らせる、このフェスだけのスペシャルセッションだ。

「アンセムズバンド」のメンバーは、バンドマスターの亀田誠治(B)を筆頭に、ピエール中野(Dr/凛として時雨)、加藤隆志(G/東京スカパラダイスオーケストラ)、津野米咲(G/赤い公園)という面々。サウンドチェックでもRADWIMPSの“前前前世”を披露し喝采を集める。

そして、今回の「アンセムズ」が繰り広げたのは、新たな試みに満ちたセットだった。

まず披露されたのは、あいみょんの“マリーゴールド”。歌うのはACIDMANの大木伸夫だ。去年リリースされたばかりの新曲を先輩ミュージシャンが歌うというのは初めてのことだが、楽曲にすでに懐かしさすら感じさせるエヴァーグリーンな魅力が宿っていることが伝わる。そして、どんなメロディにも壮大なスケール感を宿らせてしまう大木伸夫のヴォーカリストとしての特性も改めて感じる。

続いてはCHAIのマナ&カナが歌うゴダイゴ“銀河鉄道999”。原曲よりもだいぶハードなバンドサウンドにアレンジされた演奏に乗せ、左右にステップを踏んで踊りながら歌うマナ・カナのチャーミングなヴォーカルが響く。オーディエンスも左右に手を振り、大きな盛り上がりを作っていた。MCでは2人が「亀田さんといえば、東京事変の“OSCA”が聴きたい!」とリクエストし“OSCA”のイントロのベースフレーズを披露する微笑ましい一幕もあった。

次はフレデリックの三原健司が登場し、東京事変の“キラーチューン”を歌う。なんでもリハーサルの時点で亀田は三原に「中学の時にテレビで観てました」と言われたそうな。たっぷりと情感を込めて歌ったパフォーマンスで、椎名林檎のメロディーメイカーとしての才能、そして癖の強いフレデリックというバンドを離れた三原のヴォーカリストとしての大きなポテンシャルを感じた。

続いてはORIGINAL LOVEの田島貴男が登場。披露したのは自身の代表曲 “接吻”、そして彼がゲストヴォーカルに参加した東京スカパラダイスオーケストラの“めくれたオレンジ”のマッシュアップだ。これまでカバーが中心だった「アンセムズ」としては、初の本人による歌唱という試みだ。「アンセムズバンド」バージョンで生まれ変わった“めくれたオレンジ”は「スカパラにとってもすごく大事にしてる曲」と語った加藤のギターソロも聴き所になっていた。

続いては、go!go!vanillasの牧達弥がタンバリンを片手に登場し、斉藤和義の“歩いて帰ろう”を歌う。原曲は素朴でフォーキーな味わいもある曲だけれど、シャッフルビートを強調したアレンジと牧の歌声で抜群のロックンロール・ナンバーに生まれ変わっていた。

そしてラストは、先ほどステージを終えたばかりのKing Gnuの常田大希と井口理が登場。歌うのはDragon Ashの“FANTASISTA”だ。まずはギターに乗せ井口がたっぷりと情感を込めた歌声を、そして常田が拡声器を片手にしたスタイルでラップを披露。後半では井口がオーディエンスを煽り、大合唱のクライマックスを作り上げていた。

最後は全員の記念撮影。亀田は「来年もやるよ!」と告げていたけれど、「アンセムズ」が恒例になることで、この先にもいろんなJ-ROCKの可能性が広がっていくと思う。ぜひ続けてほしい。

テキスト=柴 那典

セットリスト

1. マリーゴールド/大木伸夫(ACIDMAN)
2. 銀河鉄道999/マナ・カナ(CHAI)
3. キラーチューン/三原健司(フレデリック)
4. 接吻〜めくれたオレンジ/田島貴男(ORIGINAL LOVE)
5. 歩いて帰ろう/牧達弥(go!go!vanillas)
6. FANTASISTA/常田大希、井口理(King Gnu)

撮影=釘野孝宏

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