VIVA LA ROCK 2019

5.4 SAT 10:00-10:35 CAVE STAGE
YAJICO GIRL

Indoor Newtown Collective始動
進化と深化を感じさせたニューモードをお披露目

2日目のCAVE STAGE、トップバッターを務めるのは大阪発の5人組YAJICO GIRL。「未確認フェスティバル」や「MASH A&R」のグランプリ受賞で大きな注目を集めた彼らだったが、2018年は飛躍の時に備えて地盤を固める一年だった印象がある。そして、ひさびさの新作を控えたこの日のステージは、バンドの新たなモードを知らしめる絶好の機会となった。

4人のメンバーに続いて、最後に四方颯人がステージに登場し、最初に届けられたのは新曲の“2019”。打ち込みのビートに乗せて、ヴォーカルエフェクトも用いながら穏やかなメロディーを歌い上げる、早速の新境地だ。続いて、挨拶代わりに彼らの現在までの代表曲“いえろう”を披露。バンド名の由来であるNUMBER GIRL、あるいはくるりやASIAN KUNG-FU GENRATIONといった日本のロックの旨味をギュッと凝縮しつつ、時にMr.Childrenの桜井和寿も連想させる四方の熱っぽいヴォーカルは、よりスケールの大きなポップバンドとしての魅力も感じさせる。

ここからはこの日に先立って公開されていた新曲達を次々と披露。スケールの大きなバラードの“ニケ”は静謐な序盤から轟音への展開がドラマチック。厳かな雰囲気のオルガンに導かれて始まる“NIGHTS”は、心地いい反復が生むグルーヴと、そこに被さる多彩な音色のギターが印象的な淡いサイケナンバー。“汽水域”もまた空間の広いミドルテンポのナンバーで、四方の歌とバンドの演奏がジワジワと熱を帯びて行く後半のカタルシスがたまらない。アンビエントな音像が覆う世界の音楽シーンも意識しつつ、日本のバンドとして自分たちがやれることと真摯に向き合ったような曲ばかりで、進化と深化を同時に果たしたような印象を受けた。

初期曲のポップナンバー“Casablanca”を軽快に届けると、細やかに跳ねるビートが気持ちいい“熱が醒めるまで”では、フロアにクラップの波が広がっていく。「近々アルバムが出ます」と報告をし、最後に届けられたのは前述の曲たちと同じく先行で公開されていた“ニュータウン”。彼らはこれから「Indoor Newtown Collective」というキーワードを掲げて活動して行くそうだが、この曲は繰り返される<今は何してる?>というフレーズが印象的で、きっとバンドメンバーやオーディエンスも含めた彼らにとっての繋がりの歌なのだろう。轟音の余韻とたくさんの可能性を残して、5人はステージを後にした。

テキスト=金子厚武

セットリスト

1. 2019
2. いえろう
3. ニケ
4. NIGHTS
5. 汽水域
6. Casablanca
7. 熱が醒めるまで
8. ニュータウン

撮影=小見山 峻

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