VIVA LA ROCK 2019

5.6 MON 17:00-17:35 CAVE STAGE
ヤングオオハラ

歌と音楽を自由に泳いだ初出演!
緩さと激情のコントラストに感じたスケール

結成3年でありながら今年の「スペースシャワー列伝JAPAN TOUR」にも出演するなど、急激に知名度と状況を拡大し続けているヤングオオハラ。ビバラには初登場となるが、ステージに登場するなり「ヤングオオハラです! 俺らを選んでくれてありがとう。君達、超センスあると思うわ!」と、ハローユキトモ(Vo&G)がご豪快な挨拶。そこからひと息で歌い出したオープニングナンバーは、“新”。王道の疾走ギターロックと思いきや、そこに乗るユキトモの歌がゆったりとリラクシングな聴き心地をもたらすのが面白いポイントだ。超ポップなメロディセンスを誇りながらも、その歌自体はフリーフォームというか。音楽に対する快感原則に忠実なまま歌い続けているというか。とにもかくにも、初っ端から気持ちよさそうに自分を解放していく姿がいい。

続けて「沖縄からいい波に乗ってきたからさ。最高のダンスタイムを」というひと言から披露されたのは“サマタイ”。四つ打ちのキックに乗って口当たりのいい言葉の反復される中、時折<コンドーム>といったワードがひょっこりと顔を覗かせたり、縦に跳ね続けるパーティーチューンかと思いきや<朝から夜までネエちゃんと>のリフレインで酩酊感のある深いリヴァーブに潜っていったり。表面感は滑らかでポップに見えるが、その実は一切セオリー通りにいかない――そんな不思議な触感がクセになってしまう。

しかし何よりも際立っていたのは、“朝になったら”、“中南梅”、そして“HANBUN”のようにグッと歌い上げるミドルナンバーの数々だ。身近な日常と、その日々の中にいる大事な人と何を分かち合って生きていくのか。端的に言えばヤングオオハラはたったそれだけを歌い続けているが、歌が日々に近くなればなるほど、ユキトモのパフォーマンスが激情的に昇っていく。青春感いっぱいに走ると同時に、その儚さも知っているからこそ誰かと分かち合いたい……そんな気持ちが、彼らの音楽の根底にあるテーマなのだろう。

「俺、いっつも自分の心に訊くわけよ。今自分は無理して笑ってないかって。だってさ、そんなことしてたって、しょうもないじゃん。でもまあ、実際今はそんな息苦しい社会だよね。じゃあ、あと5分は、そんなの全部要らねえから!」(ユキトモ)

そんな直情的な言葉からラストにプレイされた“美しい”は、2ビートのモッシュパートから3拍子に移行し、ゆったりと<ひとつになろう>と歌い上げてから再び激情的に昇っていく、ジャンル分けが一切できない「ヤングオオハラ全部乗せ」と言える1曲だった。

感情のままに悠々と泳いでいく歌の自由さ、歌とピタリと呼応して自在に転化していくリズム、その両方が誘爆し合いながら一直線に昇っていく様が目に見えるライヴだった。緩やかさと激情がスッと同じ箱に収まっていることの不思議さと、そもそもそれが人間そのものだなと納得してしまう瞬間と。音楽もグルーヴも一切の枠に収まらないバンドであると強烈な爪痕を残す、ヤングオオハラとビバラのファーストコンタクトだった。

テキスト=矢島大地

セットリスト

1. 新
2. サマタイ
3. キラキラ
4. 朝になったら
5. 中南海
6. HANBUN
7. 美しい

撮影=小見山 峻

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