VIVA LA ROCK 2019

5.5 SUN 15:05-15:40 CAVE STAGE
ズーカラデル

人柄がにじみ出た飾らないステージ
自由に楽しむことをフラットに肯定する3ピース

初出場組が続く3日目のCAVE STAGEもここから後半戦、北海道・札幌発の3ピース・ズーカラデルの登場だ。ただ、彼らが他のアーティストと少し違うのは、決して「若手」ではないということ。ボーカル&ギターの吉田崇展は現在30才。かつてはポストロック系の音楽を志向していたそうだが、「吉田崇展とズーカラデル」としての活動を経て、バンドへと移行。楽曲のよさが口コミでジワジワと広がり、現時点での代表曲“アニー”はYouTubeでの再生回数が120万回に迫る。しかし、ライヴを観て感じるのは、決して数字からはわからない、彼らの人間的な魅力だ。

ボブ・ディランの“雨の日の女”をSEにメンバーがステージに姿を現すと、いきなり新曲のショートチューンからスタートし、ラララのコーラスで合唱の起こる“漂流劇団”へ。無駄を削ぎ落としたアンサンブルは一聴するとシンプルだが、かつては複雑な音楽を志向してきた人ならではの、一周回ったシンプリシティがセンスのよさを感じさせる。ボ・ディドリー・ビートのロックンロール“ダンサーインザルーム”にしても、オーセンティックなのに古臭くはない、絶妙な着地点だ。

「みなさん手を上げていただいたりして、めちゃくちゃ嬉しいんですけど、僕たちは僕たちで勝手にやりますんで みなさんもそれぞれのやりかたで楽しんでください」と話し、「別れ」を歌った悲しいほどお天気なミディアムチューン“夢の恋人”を披露。さらには、「こういった場に僕たちが来れるなんて思ってもみなかったので、この空間が愛おしくてたまらないんです。みなさん一人ひとりのことは知らないので、みなさんを愛してるわけではないんですけど こうして音楽が好きな人たちが集まってるのは得難いことだと思うので、そういう気持ちで作った曲」と話をして、フォーキーな“友達のうた”へ。熱いMCもいいんだけど、吉田のMCのこの飾らない感じ、好きだなあ。あと曲が終わったときの変なイントネーションの「アリガト!」も好き。

7月にファーストアルバムをリリースすることと、初の全国ツアーを開催することを発表し、盛大な拍手が贈られる中、「長く生きてればいいことある。みなさんもこれから楽しくやっていきましょう」と伝えると、“ビューティ”を演奏。<ハロー!ハロー!/僕らの情けない日々を/ 言葉にするからきいてよ>と歌うこの曲は、新たな始まりを前にした、改めての自己紹介のよう。再度「手拍子してくれてすごく嬉しいけど、でもどっちだっていいんです」と話をして、ラストに満を持しての“アニー”! またみんなで歌おう、自由に、何度でも。

テキスト=金子厚武

セットリスト

1. 花瓶のうた
2. 漂流劇団
3. ダンサーインザルーム
4. 夢の恋人
5. 友達のうた
6. パーティーを抜け出して
7. ビューティ
8. アニー

撮影=小見山 峻

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